気になる症状 すっきり診断(16)目が開きにくくなる眼瞼下垂

イラスト・叶  悦子

◎頭痛、うつ状態の一因に/形成外科科長館正弘教授

 上まぶたが垂れ下がって目が開きにくくなり、視界が狭くなる状態を「眼瞼(がんけん)下垂症」と言います。生まれつきまぶたが下がっている先天性眼瞼下垂症の患者さんもいますが、最も多いのは年齢とともに徐々にまぶたが下がってくるタイプの眼瞼下垂症です。加齢のほか、ハードコンタクトレンズの長期装用や、花粉症などでまぶたを強くこすることも原因になります。
 眼瞼下垂症の方には頭痛や肩凝りが生じやすく、最近ではうつ状態や顎(がく)関節症などの一因になることも分かってきました。

<加齢で結合弱く>
 まぶたには上眼瞼挙筋とミュラー筋という二つの筋肉があり、これらは重なってまぶたの縁にある瞼板という組織にくっついています。人がまぶたを開けるとき、上眼瞼挙筋が収縮して瞼板を持ち上げるのですが、この二つの筋肉の結合は弱く、加齢などで外れてしまいます。
 すると上眼瞼挙筋の働きがうまく瞼板に伝わらず、上眼瞼挙筋はさらに強く収縮するので目の奥が痛くなります。ミュラー筋にも負担が掛かり、これが交感神経を刺激して、頭痛やうつ状態、不眠といったさまざまな自律神経症状を引き起こすと言われます。
 歯を噛み締めるとまぶたは開きやすくなるのですが、常に噛み締めることにより顎関節症になります。また、患者さんは無意識に眉毛を上げ、おでこの筋肉でまぶたを引き上げようとするため、筋肉の疲労が蓄積して筋緊張性頭痛を生じます。
 全ての患者さんにこうした症状が起こるわけではありませんが、手術後の視野の改善とともに他の症状も楽になったとおっしゃる患者さんもいます。

<主な治療は手術>
 眼瞼下垂症の治療は主に手術です。まぶたの筋肉自体やそれを動かす神経に原因があることもあり、その場合はもともとある病気の治療を優先します。
 手術方法は大きく分けて2通りあります。上眼瞼挙筋が十分に動く場合は、瞼板との結合部のずれを整復する手術(挙筋前転術)を行います。一方、上眼瞼挙筋の動きが悪い場合は、前頭筋吊(つ)り上げ術です。これは筋膜などで、まぶたとおでこの筋肉(前頭筋)を連結させる手術で、前頭筋の力でまぶたを上げられるようになります。
 どちらも通常数日の入院で、大人では局所麻酔での手術が可能です。術後1週間ほどはまぶたが腫れ、内出血が青あざのようになる場合もありますが、一時的です。通常、傷痕はまぶたのしわに隠れ、1カ月ほどで自然な状態になり、完全に落ち着くには数カ月かかります。
 当科では眼瞼下垂外来を開設しています。まぶたの下がりが気になる方はご相談ください。


2017年10月20日金曜日


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