気になる症状 すっきり診断(2)狭心症と体の痛み

イラスト・叶 悦子

◎左胸以外に左肩、歯でも/循環器内科科長下川宏明教授

<血流不足が起因>
 「狭心症」は、心臓の血流が不足して起きる胸痛を特徴とする病気です。心臓は、人の一生の間絶えず全身の諸臓器に血液を送り続けるポンプの役目を果たす大変重要な臓器ですが、そのためには心臓自身も多くの血液を必要とします。このため、心臓の筋肉(心筋といいます)の隅々にまで血液を運ぶための3本の動脈が冠のようによく発達しており、冠動脈といわれています。狭心症はこの冠動脈が動脈硬化で狭くなったり、痙攣(けいれん)を起こしたりして心筋への血流が低下することで生じます。
 冠動脈硬化で狭くなった場合は運動をする時だけ胸痛が生じますので「労作性狭心症」、痙攣で起きる場合は「冠攣縮性狭心症」といいます。後者の場合は、夜間から明け方(午前中)に多いことが知られています。狭心症は可逆性の病気ですが、「急性心筋梗塞」は冠動脈の動脈硬化部位が突然破れて冠動脈をふさぐ血栓ができた結果、心筋が死ぬ病気です。両者を合わせて「虚血性心臓病」といわれています。
 典型的な狭心症の症状は、左胸が締め付けられるように痛みます。胸痛は比較的急激に生じ(徐々には起こりません)、持続時間は5〜10分間で、労作性狭心症の場合は運動を中止すると軽快します。胸痛が30分以上続く場合は、急性心筋梗塞など他の病気を疑います。狭心症はニトログリセリン(舌下、スプレー)が効く点も診断に重要です。
 ここで注意しなければならない点は、左胸ではなく他の部位に症状が出る非典型的な場合があることです。具体的には、左肩から左腕にかけての痛み、歯の痛み、みぞおちの痛みなどです。このために、患者さんが整形外科、歯科、消化器内科などを受診していることがあります。
 また、閉経後の女性に多いタイプの狭心症として「微小血管狭心症」という病気があります。これは、心筋内の微小冠動脈の機能異常が原因で起きる病気で、先に挙げた典型的な症状ではない場合もあり、診断が遅れることがあります。正確な診断には、微小血管狭心症を疑って心臓カテーテル検査で詳しく調べる必要があります。

<治療に音波活用>
 狭心症の治療には、生活習慣の改善に加えて、薬物療法、冠動脈インターベンション治療(ステント治療など)、冠動脈バイパス手術があります。最近では、患者さんの高齢化・重症化に伴い、これらの治療では十分に改善できない重症の狭心症の患者さんも増えています。こうした患者さんに対して、当科では音波(低出力体外衝撃波、超音波)を用いて心臓の血管を再生させる治療も行っていますので、当科のホームページ(HP)をご覧ください。


2017年03月15日水曜日


先頭に戻る