気になる症状 すっきり診断(36)疲れて、息切れがしたら

イラスト・叶  悦子

長い安静より運動療法/内部障害リハビリテーション科科長上月正博教授

 全身持久力とは、全身を長時間にわたり動かし続ける力のことです。マラソン、ジョギング、自転車など全身を用いての長時間の運動に必要な力で、通常「スタミナ」といわれ、この力がある人ほど長生きできるとされます。
 全身持久力には、心臓、肺、筋肉、腎臓、血液が関係します。それらの病気や加齢のために動くと息切れがしたり、疲れやすくなったります。入院してベッド上で安静にすれば、息切れも軽くなるでしょう。2〜3日入院しただけで病気が良くなったような気がするかもしれません。

<難しい機能回復>
 しかし長い期間の安静は大問題です。高齢者や虚弱者の場合は、たった1週間程度安静にするだけでちゃんと歩けなくなる場合も少なくないのです。1日絶対安静にしていると、2歳分の筋肉量が減少します。例えば、70歳の人が足を骨折して2週間ほど安静にすると、98歳相当にまで体力が低下することになるのです。このように、安静に伴うさまざまな有害な影響は「廃用症候群」と呼ばれます。
 肺炎や心不全で入院して安静にした結果、退院するころには腕が上がらなくなる、歩けなくなるなどは、典型的な症状です。さらに、認知症、幻覚、妄想、不安、不眠、うつ状態も引き起こしやすくなります。しかも、低下した機能を回復するのには、寝ていた期間の2、3倍の期間を要するといわれています。
 リハビリの対象疾患は最近大きく変わりました。以前は安静が治療とされてきた心不全、呼吸不全、腎不全などの「内部障害」の患者さんも、今では運動することで息切れや疲れやすさが軽くなることが明らかになり、運動療法が勧められています。さらに、酸素投与を中止できる、透析に入るのを先延ばしできるなどの効果があります。そして、なんと寿命も延ばせることまで明らかになっています。

<大幅減量も可能>
 もちろん、最初は専門家による指導が必要です。移植や大幅減量にも有効で、私たちの診療科では、国内最多の症例数である脳死肺移植や心臓移植患者さんのリハビリで日本をリードしています。心臓リハビリは国内に数カ所しかない優れたプログラム認定施設に選ばれています。また、慢性腎臓病に対するリハビリにも力を入れており、「腎臓リハビリ」という分野を立ち上げ、診療報酬化にも世界で初めて成功しました。
 リハビリには精神的な面も重要です。ダイエットを続けるための励ましや言葉が特に重要です。私は「名医の身心ことばセラピー」(さくら舎)を著しました。きっと皆さんに合う言葉が見つかるはずです。


2018年08月17日金曜日


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