気になる症状 すっきり診断(37)自分で見つけられる乳がん

イラスト・叶  悦子

早期発見で選択肢増加/総合外科科長石田孝宣教授

 日本人女性がかかる悪性腫瘍では乳がんが最も多く、年間9万人以上が新たに診断されています。生涯の累積では、11人に1人にまで増加しています。しかし、乳がんは決して治すことができない病気ではありません。早期に発見し、がんの性格に応じた適切な治療を行うことにより、多くの方が元気になられています。

<喫煙も危険因子>
 乳がんが増加している原因はいくつかあります。一つは生活習慣が変化し、出産・授乳をされない方や肥満の方が増えていることが挙げられます。また、喫煙や過度のアルコールも危険因子となることが科学的に証明されています。
 乳がんは体表の病気であり、自分で見つけることのできる数少ないがんの一つです。定期的な自己検診が重要です。また、ピンクリボン運動などにより、マンモグラフィ検診の受診率も少しずつ増加しています。東北大学では、国家プロジェクトとして、40歳代における超音波検査併用の有効性を評価する研究を行っています。
 乳がんの治療には、手術、放射線による局所療法と薬剤による全身療法があります。早期乳がんでは、局所療法が主役ですが、進行・再発乳がんでは薬物療法が主役となります。早期に発見することにより、治療成績が向上するのはもちろんですが、乳房温存手術や乳房再建、不要なリンパ節切除の回避など手術方法の選択肢も広がります。
 手術療法は時代とともに変遷し、現在では、乳房温存手術が全国の乳がん手術の半数以上を占めています。目覚ましい進歩を遂げた領域として、第一にセンチネルリンパ節生検が挙げられます。がんから最初に流れ着くリンパ節を見つけ出し、ここに転移がなければそれ以上の切除を省略するもので、神経症状やリンパ浮腫の発生を減少させます。第二に、乳房全摘後の乳房再建です。認定された施設限定で、人工物による再建が保険適応となりました。

<三つの薬物療法>
 乳がんの薬物療法には、化学療法(抗がん剤)、内分泌療法(ホルモン剤)、分子標的療法の三つの柱があります。個々の乳がんの持つ性格に応じてこれらの薬剤を適切に選択することが重要です。
 乳がんに関する科学の進歩は目覚ましいものがあり、最新情報は、インターネットや書籍などから得ることができます。しかし、得られた情報が正しいかをきちんと判別する必要があります。日本乳癌(がん)学会出版の診療ガイドライン、および患者さんやご家族に向けたガイドラインの解説書などから信頼できる内容を学ぶことをお勧めいたします。


2018年09月07日金曜日


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