気になる症状 すっきり診断(43)小児の便秘

イラスト・叶  悦子

◎改善状態の維持が大切/小児腫瘍科科長 坂本修特命教授

 便秘症は「よくある病気で、大したことではない」と考えられがちです。でも一部での便秘症のお子さんは、便をする時にとても痛い思いをしたり、苦しんだりしていることが多く、決して放っておいてよい病気ではありません。

<硬くなり慢性化>
 便秘が「便がたまった、または便が出にくい状態である」ことは分かるとしても、排便の習慣は個々に異なるため、どこから便秘症とするかは感じ方がまちまちです。国際的には「Roma III」という診断基準があります。回数に関して大ざっぱに言えば「1週間に2回以下の排便」が一つの目安になります。しかしながら、たとえ毎日排便があっても、少量しか排出せず、常時スッキリしない状況であればこれも便秘症として考えるべきでしょう。
 日本で小児の便秘症の頻度ははっきりしません。例えば児童の18.5%が週に2、3回の排便回数であったという報告があります。女子高校生の便秘(3日に1回未満)については30%程度ともいわれています。腸内に長くとどまった便は、水分を吸いとられて硬くなっていきます。硬くなった便が直腸にうまく送り出されずに詰まってしまうと、腸内にたくさんの便がたまっておなかの張りなどが起こるのです。また、便が硬くなると、排せつの際に肛門が切れる「裂肛」が起こることがあります。見た目では分からない程度でも、排便のたびに強く痛むため、お子さんは排便を我慢するようになります。すると、硬くなった便がさらにたまってしまい、便秘の悪化や慢性化につながってしまいます。便秘症の治療の目標は「便秘でない状態に」到達あるいは復帰し、それを維持することです。一時的にかん腸で排便して終了というわけではなく、「それを維持」することが重要です。

<下剤使用で誤解>
 かん腸・坐剤に限らずいくつかの経口薬も使用されています。ここで便秘症の治療の最も誤解のもとになっているのは、「下剤は癖になるので、使わなくなると便が出なくなる(だからあまり使わない方がよい)」という発想ではないかと思っています。これに関しては、「ウンチをため込むと腸が引き伸ばされる」「伸びたパンツのゴムみたくなると、縮みにくくなり余計にウンチが出にくくなります」という説明をします。確かに一部の下剤には長期連用を避けた方がよいものがありますので、使用の際には医師とご相談ください。
 本文の内容は、日本小児栄養消化器肝臓学会と日本小児消化管機能研究会で共同で作成した「小児慢性機能性便秘症ガイドライン」を参考にしています。同学会ホームページ(HP)の「患者様むけパンフレット」で紹介していますのでご参照ください。


2018年12月07日金曜日


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