気になる症状 すっきり診断(46)夜間の尿量が多い

イラスト・叶  悦子

◎濃縮機能の低下で障害/腎・高血圧・内分泌科科長 伊藤貞嘉教授

 腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として体の外に排出する役割を担っています。また、摂取した塩分やその他のミネラルを正確に調節して余分な量を尿に排せつして、体の血液成分を一定に保っています。健常成人の尿量は約1.0〜1.5リットル/日です。しかし、何らかの原因で尿量が減少し、1日の尿量が400ミリリットル以下になることを乏尿、100ミリリットル以下になることを無尿といいます。尿量が増加し、2500ミリリットル以上となることを多尿といいます。

<合併症も原因に。
 一般に「腎臓が悪くなると尿が減る」「尿は透明が良い」と思いがちですが、尿量が増える疾患もいろいろあります。尿量の増加には腎臓の濃縮力障害が見られます。腎臓は血管のフィルターで1日150リットルものろ過をして、いったん体の外に出し、その後、腎臓の中の尿細管という管を通る間に体に必要なアミノ酸、糖、水分などを再吸収して血液の中に戻し、不要な物質を尿へ濃縮して排せつしています。腎機能が低下すると、尿の濃縮機能にまず障害が起きることが多く、尿量は増え、尿が透明となることもあります。夜間は尿を濃縮し、トイレに行く回数が減りますが、尿の濃縮機能が低下すると、回数は増えます。高齢の方では、腎機能の障害がなくても、尿の濃縮機能が低下することがよく見られますが、合併症から夜間多尿が見られます。以下に主な注意点をあげます。よく知られているのに糖尿病があります。糖が水を伴って尿に出てくるので、糖尿病は多尿をきたす疾患です。健常人でも水をたくさん飲めば、必然多尿になります。
 尿量が増える「尿崩症」という病気があります。脳から尿を濃くするホルモンが出なくなった場合と腎臓がそのホルモンに対して反応できなくなった場合とがあります。先天性のものもあります。小児では多尿のみで夜尿症として見逃されていることもあります。放置すると水腎症などの重大な合併症が出てきます。

<ホルモン精査を>
 高血圧を伴う場合。高血圧が急速に悪くなる場合、腎臓の血管に異常があって起こる高血圧(腎血管性高血圧)、原発性アルドステロン症などでは血液のカリウム値が低下して夜間多尿を起こします。ホルモンを調べてもらい精査することが大切です。夜間に血圧が高い人や、塩分摂取が多い人も夜間多尿になります。心不全でも夜間多尿が見られます。血液のカルシウムが高くなっている場合。カルシウムを上げるホルモンを過剰に分泌する腫瘍、ビタミンDとカルシウムの過剰摂取などで見られます。
 夜間多尿はその他の症状がないときは本人自身も気にしないことがありますが、継続する時はかかりつけ医に相談することをお勧めします。


2019年01月25日金曜日


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