気になる症状 すっきり診断(52)ぜんそく

イラスト・叶  悦子

◎早期治療で肺機能回復/呼吸器内科科長 一ノ瀬正和教授

 ぜんそくはアレルギー反応によって起こる炎症で、肺への空気の通り道である気道(気管支)の壁がむくんで厚くなり、また、気管支平滑筋が収縮して気道狭窄(きょうさく)が起こる病気です。典型的な症状としては、ゼーゼー・ヒューヒューといった発作が繰り返し起こったりします。アレルギーの原因は屋内のホコリやダニで、症状の増悪は夜間や早朝に多く起こります。運動による呼吸の増加(過換気)も、気管支の粘膜を刺激して発作を起こす原因となります。一方、軽症例ではゼーゼー・ヒューヒューを伴わず、症状が咳(せき)だけの場合もあり、咳ぜんそくなどとも呼ばれます。

<吸入剤と拡張薬>
 ぜんそくは幼児から老人まで幅広く発症する疾患ですが、年々患者数は増加傾向で、現在日本で約10%の罹患(りかん)率が見込まれます。こういったぜんそくの患者さんの増加は環境がきれいになり、細菌感染が少なくなったことによる免疫系の変化(衛生仮説)などが原因と考えられています。
 ぜんそくの治療は、まずアレルギーの原因となる室内のホコリやダニの除去に努め、定期的な薬物療法を行うことです。吸入の抗炎症剤(ステロイド)と気管支拡張薬が中心となります。ステロイドというと副作用を心配される方もおられますが、吸入の場合ごく少量ですので、全身性の副作用はほとんど問題にはなりません。
 以前は、ぜんそくの患者さんは治療してもある程度症状は残る場合が多くみられましたが、吸入薬の改良で、ほとんどの患者さんは症状が消失し、健康な方と同じような日常生活(運動も含め)が可能になりました。早めに治療すれば、薬剤の効果も大きく肺の働きも正常に戻りますが、治療が遅れれば肺の機能障害を来す場合があります。

<喫煙は発作誘因>
 たばこの煙は気管支の粘膜の刺激からぜんそくの発作の誘因となります。さらに、喫煙をしているとぜんそくの治療薬(吸入ステロイド)の効果がなくなってしまいます。
 ぜんそくの診断は変動性のあるゼーゼー・ヒューヒューといった症状や、呼吸機能検査で行いますが、軽症で特に咳だけのような場合はこれまで診断が困難でした。数年前から、吐いた息のガス分析(一酸化窒素濃度測定)がぜんそく診断法として認められ、多くの医療機関で検査が可能です。ぜんそくに典型的なゼーゼー・ヒューヒューといった症状がある方はもちろんですが、咳が続く、風邪が長引くといった症状の方が軽症ぜんそくであることは結構見掛けられます。既に説明したように、早期診断・治療の有効性は高いですからぜひ医療機関を受診して検査を受けてください。


2019年04月19日金曜日


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