気になる症状 すっきり診断(53)ドライアイ

イラスト・叶  悦子

◎涙の安定性低下が原因/眼科講師 横倉俊二

 ドライアイは、文字通り目の表面が乾燥してさまざまな症状を引き起こす疾患です。約30年前にドライアイの考え方が発表された当時は、単純に涙の量が減って目の表面に傷ができることが原因とされてきました。しかしその後の研究で、涙が減っていなかったり、目の表面に傷がなかったりするのにも関わらず、目の渇きや痛みを自覚する方がたくさんいることが分かりました。このため現在では「涙液層の安定性低下」が主な原因と定義されています。

<目薬で量増やす>
 「涙液層の安定性低下」には涙の量が減ることと、量があっても乾くのが早いこととが含まれています。涙の量が減る原因としては加齢の他、涙を作る場所(涙腺)に障害がある病気があります。涙の渇きが早くなる原因としては、パソコンやスマホ使用時に瞬きが減ること、コンタクトレンズの使用などがあります。このような涙の不安定性にまぶたや結膜(白目)のたるみなどが加わって、単純に目の渇きや痛みとは言いがたいさまざまな症状(目が熱い感じや疲れ目など)が複合して出現することがあります。これを宮城県やその近隣では「いずい」と表現される方が多くいらっしゃいますが、これは非常に言い得て妙な表現です。
 ドライアイの診断としては、涙に色を付けて涙が乾き始めるまでの時間とその乾き方を見る方法が主流で、この方法により涙の量が少ないのか、乾燥が早いのかを見極めます。この他に涙の量を測る検査を行うこともあります。涙の量が少ない場合は目薬によって涙の量を増やしたり、目頭にある涙点と言われる穴にシリコンの栓をしたりする治療が行われます。乾燥が早い場合は涙の中に含まれる、水分保持性タンパク質(ムチン)の異常が原因であることが多いため、ムチンの量を増やす目薬が用いられています。

<メタボと関連も>
 わが国では世界に先駆けてこのムチンを増やす目薬が実用化されています。他の補助療法として、目の周囲を蒸しタオル等で温める温罨法(おんあんぽう)が有効な場合があります。またパソコンの使用時には目の高さよりもモニターを下に置く(=必要以上に目が開かないようにする)、瞬きの回数が減らないように意識することも有効です。
 ドライアイは失明につながる可能性は低い疾患ですが、最近の研究では睡眠の質や幸福感の低下、メタボリック症候群との関連が判明しており、心身の健康を守る上でも、ドライアイの適切な診断と治療は重要です。現在では有効な治療法が複数ありますので、ドライアイかな? と思った場合は我慢せずにお近くの眼科を受診してください。


2019年05月03日金曜日


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