気になる症状 すっきり診断(55)凍結肩

イラスト・叶  悦子

◎痛みを取って和らげる/麻酔科科長 山内正憲教授

 「夜になるとなぜか肩が痛い」
 「髪を洗う時に痛くて腕が上がらない」
 「ゴルフの時に肩が回らない」
 このように肩の強い痛みや、肩が固まって動かなくなる(拘縮)症状が出てくる病気を「凍結肩」といいます。正式な病名なのに病気っぽくない名前で、凍って固まるような、そして冷えたように痛いことが分かります。英語でもFrozen Shoulder(凍った肩)といいます。中年以降に発症することがほとんどで、四十肩、五十肩、そして六十肩などともいわれます。

<狭い肩の可動域>
 さて、凍結肩がなぜ生じるかはいまだに分かっていません。診断のスタートは問診で、肩をぶつけたり事故にあったりしたわけでもないのに、強い痛みが出て肩の可動域(動かせる範囲)が狭くなっていることを確認します。次に、他の肩の疾患がないかを検査します。X線写真、磁気共鳴画像装置(MRI)、超音波装置などによる関節内、筋肉、腱(けん)の病気(腱板断裂、石灰性腱炎など)の確認です。ここまでは整形外科を受診する患者さんが多いでしょう。凍結肩は検査で分かる明らかな異常のないことが特徴ですが、糖尿病や血流障害が関係している場合もあります。既往歴やお薬手帳もチェックします。

<ブロック注射も>
 凍結肩の初期は肩関節の炎症と考えられており、腫れ止めとか抗炎症薬(NSAIDs)といわれる、痛み止めが効果的です。治療も兼ねて局所麻酔薬、ステロイド、ヒアルロン酸などを関節内に注射します。関節内病変の患者さんでは痛みが楽になり、動かしやすくなります。私たちペインクリニック外来では、鎮痛薬と関節内注射だけで症状が改善しない場合、特殊な神経ブロックも行っています。これは、肩周囲の筋肉の変化やコリの悪化のような凍結肩の症例も多いことから、その筋肉の支配神経のみを選択的にブロックする注射です。超音波画像で神経と筋肉の状態を診察しながら行います。拘縮の原因となる筋肉を確認し、痛みのない状態でストレッチや運動をしやすくなりますので、効果的なリハビリテーションと筋力トレーニングが可能となります。
 凍結肩は命と直接関わる病気ではなく、いつの間にか良くなることもあります。しかし、多くの人が強い痛みと日常生活の不便に悩まされています。東北大病院では整形外科、ペインクリニック(麻酔科)、そしてリハビリテーション部が協力して、的確な診断と丁寧な治療を行っています。


2019年06月07日金曜日


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