気になる症状 すっきり診断(60)婦人科検診を受けよう

◎子宮頸がん早期発見を/産科医師 森部絢子

 皆さんは婦人科検診を定期的に受診していますか? 婦人科の診察は痛い、恥ずかしいといったイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。現在、子宮頸(けい)がん検診は20歳以上の方を対象とし2年に1回の受診が推奨されていますが、2016年の検診受診率は42%となっています。国内では年間約1万人が子宮頸がんを発症し、3千人弱が死亡しており、近年、20代から40代前半の若年・妊娠可能年齢での子宮頸がんが増加しています。

<性行為での感染>
 子宮頸がんとはどのような病気かご存じでしょうか。子宮頸がんとは子宮頸部という子宮の入り口にできるがんのことですが、その多くは性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因であることが分かっています。HPV感染自体は珍しいことではなく多くの場合は自然に治りますが、感染が長期化すると子宮頸部上皮異形成という前がん病変を経て子宮頸がんに至ります。HPV感染から子宮頸がんに至るまでには5年から10年以上の年月がかかるといわれており、定期的に検診を受診していれば前がん病変の段階で診断を付けることができます。子宮頸部上皮異形成や初期の子宮頸がんでは、子宮頸部の一部を切除する円錐(すい)切除術という治療により子宮を残すことができるため、早期発見が非常に重要となります。
 円錐切除術を行っても、多くの場合妊孕性(にんようせい)(妊娠しやすさ)に影響はありません。妊娠中の子宮では子宮頸部はしっかりと閉じることで赤ちゃんが早産で生まれてくるのを防ぎ、また頸管粘液を分泌することで腟(ちつ)からの細菌の感染を防ぎ早産を予防するという役割を担っています。そのため円錐切除術によって子宮頸部を一部切除していると早産のリスクが高く、早産率は8%から15%と通常の1.5倍から3倍であり、厳重な管理のもと妊娠経過をみることになります。

<妊娠中は摘出も>
 では、まれなことではありますが妊娠中に子宮頸がんと診断されるとどうなるのでしょうか。早期のがんであれば子宮を残すことが可能なこともありますが、進行したがんの場合は子宮を手術で摘出する必要があります。赤ちゃんがある程度子宮の中で成長するまで厳重に管理し、分娩(ぶんべん)後に子宮を摘出する場合もありますが、状況によっては妊娠を中断し子宮摘出に踏み切らなければなりません。
 子宮頸がんは定期的に婦人科検診を受診していれば早期発見が可能な病気です。皆さん、自分の命を守るために、そして将来授かるかもしれない赤ちゃんの命を守るためにも、定期的に婦人科検診を受診しましょう。


2019年08月16日金曜日


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