気になる症状 すっきり診断(72)血糖スパイク/動脈硬化へのリスク大

イラスト・叶悦子

◎東北大病院 糖尿病代謝科 講師 沢田正二郎

 血糖値は1日の中で上がり下がりします。ご飯を食べれば上がり、そして時間がたつと下がります。今回紹介する「血糖スパイク」とは、食後に一過性に高くなる血糖値のことです。

■「静かな殺し屋」

 健康な人でも食後に血糖値は少し上がりますが140mg/dlを超えることはまれです。140〜200mg/dlであれば境界型糖尿病(糖尿病予備群)、200mg/dlを超えれば糖尿病の可能性があります。
 血糖スパイクとは、空腹時には一見高くなくても、食後の血糖値が一過性に200mg/dl近くまで上がり、次の食事前までには下がる状態のことです。1日3回の食事(朝、昼、夕)で高血糖の大きな山が三つでき、それらを絵に描くとサッカーのスパイクシューズのようにとがっていることから「血糖スパイク」と呼ばれます。健康な人は食後に速やかに血糖を下げるホルモン(インスリン)が膵臓(すいぞう)から分泌され高血糖とならないように制御されていますが、生活習慣病などではその血糖制御が不完全となり血糖スパイクの出現を許してしまいます。
 近年の疫学研究で負荷後高血糖がある人は心筋梗塞や脳梗塞を発症しやすいことが明らかとなりました。血糖スパイクは血管に酸化ストレスを与え、傷ついた血管に白血球などの炎症細胞が集まり、症状がないままゆっくりと動脈硬化を形成します。このように血糖スパイクはサイレントキラー(静かな殺し屋)といえます。

■食事療法が有用

 血糖スパイクを防ぐには食事療法が有用です。食べ過ぎないことと栄養バランスが重要です。食べる順番の工夫で食後の血糖上昇が緩やかになることもあります。米飯よりも先に野菜・魚・肉料理を食べると血糖スパイクが緩やかになりますが、よくかんでゆっくり食べなければ効果は限定的となります。一般的に、食べ物を口に入れると約10秒間かんで飲み込みますが、これを意識して30秒間かんでから飲み込むようにすると食後の血糖上昇が緩やかになったとの研究があります。
 間食にも気を付けましょう。特に清涼飲料水(ジュースなど)は、爽やかな風味の陰には多量の糖質が含まれていますので血糖スパイクには大敵です。最後に、運動療法も血糖スパイクの予防に有用です。特に食後30分から20分程度の有酸素運動をすると食後高血糖が改善するとの報告があります。運動療法は食事療法と組み合わせると最良の効果が得られるベストパートナーです。


2020年03月17日火曜日


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