気になる症状 すっきり診断(76)乾癬は感染しない/全身疾患の引き金にも

イラスト・叶悦子

◎東北大病院 皮膚科副科長 山崎研志准教授

 2019年末からの新型コロナウイルスの流行によって、人にうつる病気・感染症のニュースや情報を毎日見掛けるようになりました。「目に見えない」ウイルスに感染しないように、読者の皆さんも手洗いやうがいをしっかりとされていることでしょう。皮膚の病気の多くは「目に見える」病気です。「目に見える」皮膚の病気はうつる、感染すると思われがちですが、2000種類ほどある病気のほとんどは感染しません。そんな感染しない皮膚病の一つに、乾癬(かんせん)という感染しそうな病名があります。

■皮膚にカサカサ

 乾癬とは「乾いた皮膚病」という意味です。頭や腰などの皮膚の一部が赤くなり、その表面には皮膚が乾いたようなカサカサができます。ヒトの皮膚表面には表皮という、陸上生活での刺激や乾燥から人体を守る構造物があります。この表皮は、1カ月から1カ月半ほどで新しい層に生まれ変わり、古い表皮は角化物、いわゆる垢(あか)として剥がれます。乾癬の表皮では新陳代謝が非常に活発になっており、表皮の生まれ変わりが4、5日、すなわち通常の10倍ほどのスピードで行われます。活発な表皮層の新陳代謝のため、カサカサした角化物がどんどん剥がれます。剥がれた角化物はタンパク質やケラチン(髪の毛と同じ成分)ですので他人に感染しませんが、フケのように他人の目が気になります。

■体質、環境が影響

 乾癬は、体質や生活環境が複雑に影響して発症する病気です。発症原因が一つではないので、なかなか治りにくい病気です。また、皮膚だけでなく、関節や爪の変形や炎症を起こします。そして、乾癬を患っていると、肥満・高血圧・高脂血症・高血糖などのいわゆるメタボリック・シンドロームの引き金にもなる全身の炎症反応や、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベント(血管の詰まりや破裂によって起こる症状)が増えることも分かっています。乾癬は他人に感染する心配はありませんが、本人の全身の健康のために、きちんと治療をするべき皮膚病です。
 最近の治療方法の進歩のおかげで、ほぼ全ての乾癬の皮膚症状を「見えなくする」ことができるようになりました。治療薬には、外用薬(塗り薬)、紫外線治療、内服薬(飲み薬)、注射薬があります。特に、10年以降に開発された注射薬の生物学的抗体製剤は、それまでの治療で効果がなかった乾癬の皮膚症状も消し去ります。皮膚が赤くなって治らないときは、ぜひ近くの皮膚科専門医に相談してください。


2020年04月17日金曜日


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