気になる症状 すっきり診断(81)がん治療と緩和ケア/いつもの生活維持する

イラスト・叶  悦子

◎東北大病院 緩和医療科 田上恵太講師

 生涯でがんと診断される人の割合は2人に1人と公表されています。がん治療(一般的に、手術、放射線・抗がん剤治療)によって根治が期待できる場合から、他の臓器に転移してしまい根治が期待できない場合もあります。
 根治は期待できない場合でも、病状の進行を抑えて普段の生活を長く送ることを目標に治療することは可能で、その治療の進歩は近年目覚ましいものがあります。そして「がん治療」と「緩和ケア」を並行して受けながら、日常生活や仕事を続けていくことが世界標準になっています。

■副作用予防する

 では「緩和ケア」は何ができるのか?
 東北大病院の緩和ケア外来には、がん治療中の患者さんが数多く通っています。私たちは「いつも通りの生活を過ごしていただく」ことを目標にして、それを邪魔する体の症状(がんによる症状や治療の副作用)を緩和し、気持ちの落ち込みや生活の不安に関する相談を行っています。
 対処方法として緩和ケア外来では、薬を用いたり、患者さんからお話をお聞きしたり、専門家へ橋渡ししたりします。精神面や不安に関する対処の専門家、栄養士、生活やお金のことを相談できる医療相談室や医療社会福祉士、リハビリ療法士、がん治療の専門家、ブロック注射を行う専門医、放射線治療の専門医、口の中や歯の専門家、傷や皮膚の問題を扱う専門看護師など、私たちにはたくさんの仲間たちがいます。

■より良く生きる

 緩和ケアというと「死にゆくための医療」というイメージが強いかもしれませんが、繰り返しますが病気があっても「いつも通りの生活を過ごしていただく」ことが私たちの望みです。その理由は、私も同じ状況になった時には、病気の治療を行いながらいつも通りの生活を送りたい、病気があってもより良く生きていきたい、と思うからです。
 今、緩和ケア外来には「家庭や職場でいつも通り過ごすため」に緩和ケアを受ける方がたくさんいらっしゃいます。もちろん、これからの治療や生活、病気との歩み方について相談をしにくる方もたくさんいらっしゃいます。
 もしみなさんの周りに病気の症状や治療、そして病気とともに生活していくことに不安を抱えている方がいらっしゃれば、緩和ケアに相談することを勧めてください。自分のことのように親身になって、患者さんやご家族のつらさを和らげられるよう、一緒に真剣に考えます。


2020年07月10日金曜日


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