<サイクル未来図 ツール・ド・東北2018>(中)インバウンド/文化根付く台湾 魅力

仙台空港に設置された自転車専用ロッカー。ライダーの利便性向上が進められている

 東日本大震災で被災した宮城県沿岸部を自転車で巡る「ツール・ド・東北2018」(河北新報社、ヤフー主催)が9月15、16日に開催される。震災からの復興支援を目的に2013年に始まり、今年で6回目。自転車文化の浸透がさらなる復興を後押しする力になってきただろうか−。「民泊」「外国人誘客」「地域づくり」の三つの観点から現状と課題を追った。(ツール・ド・東北取材班)

 自転車をキーワードに、台湾と東北が互いに熱視線を送っている。
 「東北を走りたいというニーズは少なくない。仙台空港を出発地とするサイクルツーリズムがビジネスとして実現可能性があるのか探りたい」
 台湾の世界的自転車メーカー、ジャイアント社の関係者が明かす。
 台湾では自転車による台湾島一周(約1000キロ)がブームの域を超え、文化として根付きつつある。「環島(ホォンダオ)」といい、台湾の自転車版「お遍路」と呼ぶ関係者もいるほどだ。
 ジャイアント社は既に広島、愛媛両県をつなぐ「瀬戸内しまなみ街道」を走るツアーを台湾のライダー向けに催行。9月15、16日に開かれるツール・ド・東北2018には同社幹部が実際に沿岸部を走り、三陸沿岸のルートを細かくチェックするとみられる。

<インフラ追い風>
 追い風は、台湾人を迎え入れる交通インフラの充実だ。仙台−台湾線は現在、格安航空会社(LCC)のタイガーエア台湾など週10往復が就航。10月下旬からは週13往復に増える。
 観光庁によると、2017年に宮城県に宿泊した外国人延べ約26万人のうち約36%が台湾人で、国・地域別でトップだった。

<空港に施設整備>
 仙台国際空港(名取市)の岡崎克彦営業推進部長は「自転車は空港利用者を増やす大きなツール。特に台湾は魅力的だ」と意気込む。
 昨年11月、ターミナルビル内に自転車の組み立てや修理ができる「サイクルポート」を設置。解体した自転車を入れる「輪行箱」を収納できる専用ロッカーも備えた。利用頻度は月10〜15回だが、岡崎氏は「先行投資が大切」と話す。
 復興庁も台湾人の自転車熱に着目し、東北に訪日外国人旅行者(インバウンド)を増やす戦略を描く。17年度、県内の観光関係者らと「宮城サイクルツーリズム推進協議会準備委員会」を設置。県内に7コースを設定し、秋に台湾から50人程度を招いて走行ツアーを開く予定だ。
 宮城復興局の木内俊典参事官補佐は「語学ガイドの育成など課題は多いが、地元と協力を進めたい」と話す。
 気仙沼地区では19年春に開通する気仙沼大島大橋を渡るルートが設定された。気仙沼商工会議所の加藤正禎専務理事は「大橋は、外国人を誘客できる魅力がある」と期待を寄せる。
 台湾を起爆剤に、被災地・東北に訪日外国人客を呼び込めるか−。6回目を迎えたツール・ド・東北の真価が問われる。


2018年08月29日水曜日


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