<ツール・ド・東北>仙台発コース、自転車積み込み松島湾遊覧 被災地の今を実感

大会初となる船舶での移動で、潮風を受けて笑顔を見せるライダー=15日午後0時35分ごろ、松島湾

 15日に開幕した「ツール・ド・東北2018」で、「仙台発グループライド&クルージング」(60キロ)が初めて実施された。国内外のライダー60人が参加。東日本大震災からの復興状況や自然の豊かさを肌で感じ、ペダルを踏みしめた。
 午前8時半、仙台市東部の若林区荒井をライダーが出発。応援に駆け付けた若林区の無職高橋勝彦さん(72)は「友好が深まり、地域が元気になればいい」と笑顔で手を振った。
 海から約700メートル内陸の若林区荒浜地区に、鉄筋コンクリート4階の学びやが立つ。震災遺構の旧荒浜小だ。津波で1、2階が浸水し、天井には穴が空き、ベランダの柵が倒壊している。
 同校卒業生で市嘱託職員の川村敬太さん(36)らがライダーを案内した。「震災発生後、児童や先生、住民ら320人がこの学校に逃げ、全員が無事でした」
 ライダーで福岡市の会社員吉沢瞬さん(28)は「津波の被害が生々しいが、ここで子どもたちが学んでいたことを伝える大事な証拠だと思う」と心に刻んだ。
 仙台発のコースは中間地点の塩釜港で遊覧船に自転車を積み込み、奥松島まで約1時間のクルージングを楽しんだ。一行は松島湾の美しい景観やカキ養殖場を眼下に眺めながら、サンマのつみれ汁や牛タン弁当といった特産品を味わった。
 千葉市の主婦相原りえさん(34)は「被災地の現状を知るだけでなく、観光や名物を楽しみたいと思い参加した」と説明。下船後、再び自転車に乗りゴールの石巻専修大(石巻市)を目指した。
 村井嘉浩宮城県知事も塩釜港まで参加し、復旧が進む自転車専用道路「仙台亘理線」などを走行した。村井知事は「ツール・ド・東北は競走の場ではなく被災者との触れ合いの場。より大勢の海外の方々にも参加してもらうイベントになってほしい」と期待する。


2018年09月16日日曜日


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