<ツール・ド・東北>父娘の挑戦ゴール 助け合い70キロ「成長感じた」

奥松島を望む大高森山頂で記念写真を撮る裕市さんと美空さん=15日午後1時15分ごろ、東松島市宮戸

 東日本大震災で被災した宮城県沿岸を、ライダーたちがさっそうと駆け抜けた。15日開幕した自転車イベント「ツール・ド・東北2018」(河北新報社、ヤフー主催)には、コースにゆかりのあるライダーも多く参加する。震災を経て変わりゆく風景に、復興への思いを重ねていた。

 被災地の風を切り、父と娘の「挑戦」が実った。「奥松島グループライド&ハイキング」(70キロ)に参加した東松島市の井上美空(みく)さん(12)=矢本一中1年=は今大会の最年少ライダー。父裕市さん(38)とそろって完走を果たした。
 佐沼高教諭でボート部監督の裕市さんは震災当時、矢本一中の講師。教え子が犠牲になり、街は傷ついた。教壇で常々伝える「挑戦」を形にしようと、2014年の第2回大会から出場を重ねる。「中学生になったら家族で走ろう」。美空さんとの出場は、いつしか親子の約束になっていた。
 大会前、美空さんは普段の自転車通学に加え、バレー部の練習後や週末に地道なトレーニングを続けた。「70キロは初めてで不安」。緊張する美空さんを、裕市さんが「景色や会話を楽しんで走ろう」と和ませた。
 大高森(105メートル)からの眺望。震災復興伝承館(旧野蒜(のびる)駅)の語り部。幼い頃に海水浴で訪れた野蒜海岸の変わり果てた姿。「自転車でしか見られない景色だった」。目に焼き付けながら走った。
 完走後、美空さんは「あっという間の70キロだった。思った以上に楽しかった」。裕市さんは「走るほどに上手になって、成長を感じた。夢が一つかなった」。親子の挑戦のゴールは、すがすがしい笑顔だった。


2018年09月16日日曜日


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