特集

<仙台いやすこ歩き>(94)桑チョコ/子どもの自立甘く応援

 「ねえ、桑の葉のチョコがあるんだって。どうも復興のチョコで、子ども応援チョコらしい」。イノシシの聴覚と嗅覚は犬より優れているというが、今年も鼻が効くようだと、いやすこは勇んで出かける。
 やってきたのは仙台市青葉区小松島にある社会福祉法人仙台キリスト教育児院。子どもたちが元気に遊んでいるものの、桑畑はない…ときょろきょろする2人を迎えてくれたのは、ここに事務局を置く「こどもの夢ネットワーク」の3人。その一人、藤田毅さん(49)が「桑は若林区荒井で生産されていて、私たちはその桑の葉の粉末入りチョコレートの販売を請け負っているんですよ」とにっこり。
 ?印の2人に、皆さんが丁寧に説明してくれる。こどもの夢ネットワークとは、児童養護施設や里親家庭を巣立つ子どもたちの自立をサポートするための任意団体。設立は10年前で、それ以前には連携のなかった児童養護施設と里親が、「子どもたちのよりよい育ちと自立の支援を一緒にやりましょう」と始まったのだそう。ト蔵(ぼくら)康行さん(63)は50人を超える子どもたちを巣立たせた里親で、宮城里親支援センターけやきのセンター長。大内治子さん(44)は里親支援の専門相談員だ。
 「18歳で巣立った子どもたちの10年後の声を集めてみたら、相談できずに困っているという声が多く聞かれたんです」とト蔵さん。そこでフリースペース「夢歩(ゆめっぽ)」をつくった。
 「子どもたちだけではアパートを借りるにも壁があるため、こどもの夢ネットワークが契約し、子どもたちが住んだり交流したりする部屋として用意しました」。運営は複数の支援を受けていて、その一つが世界各地で地域支援を行うNPO日本ハビタット協会(東京)だった。
 同協会は東日本大震災後、沿岸部の農地復興のため「復興の桑プロジェクト」を発案。塩害に強く、栄養豊富な桑を無農薬で育てるプロジェクトは、農家の皆さんの再生への努力と情熱により2013年に桑の葉の粉末を商品化。翌14年には、多くの人に知ってもらおうと、桑葉粉末入りチョコ「KUWA CHOCO(クワチョコ)」を生み出した。
 75本の苗から始まった桑畑は今では1500本ほどに。クワチョコも冬限定の生チョコに加え、通年販売できる板チョコタイプの「キャレチョコ」が登場している。
 大内さんが実物を持ってきてくれた。和モダンでオシャレなパッケージ! そっと開いて口に含むと、香りよく優しい甘さが舌に溶けていく。「わぁ、みんなの思いがこもってる〜」。色も味も抹茶チョコのよう。包装は児童養護施設から高校に通う子どもたちや、ボランティアの手仕事だそう。
 「売り物にできない包装があったり、そんな経験も大切な学びになっています」と大内さん。作業の対価は子どもたちへアルバイト料として、そしてクワチョコの収益金は子どもたちの自立支援に充てられる。
 仙台発の、愛情豊かな、栄養たっぷりのチョコ! あの人にもあの人にも贈りたいなと思ういやすこだ。

◎豊富な栄養糖尿病予防も

 かつてはカイコの飼料に利用され、最近は健康茶としても知られる桑の葉。その効用は古くから知られ、鎌倉時代には栄西の「喫茶養生記」でも茶と並んで紹介されている。
 豊富な栄養分の中でも特に注目されるのが、桑の葉特有の成分であるDNJ(1−デオキシノジリマイシン)。糖分を分解する酵素と結び付いて糖の分解を防ぎ、糖を体外に出す。そのため血糖値の急激な上昇も抑制され、糖尿病の予防に期待されている。
 血圧を抑え中性脂肪を抑制するGABA(ギャバ)、血管を強化・掃除するルチン、疲労回復の働きをするカルシウムをはじめ、豊富なミネラル、整腸作用や血中コレステロール値正常化を促進する食物繊維なども含まれている。
 クワチョコの注文は日本ハビタット協会のホームページで受け付けている。30日から2月14日まで仙台市青葉区の藤崎で開催の「ショコラマルシェ」にも出店、自立して専門学校や大学に学ぶ子どもたちもアルバイト販売員として店頭に立つ。

 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。


2019年01月28日月曜日


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