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<仙台いやすこ歩き>(123)グーグーテラス/動物園らしさ ぎゅっと

 「夏休み、よく行ったな〜」「今年はがぜん行きたい所だね」。そんな会話をしながら仙台市地下鉄東西線に乗り、2人は八木山動物公園駅で降りる。
 「うちから八木山を眺めたら雲の中だった」と画伯。ということは、ここは雲の中だ。歩きだせば、霧の中でクロサイやシマウマが草原をゆったり歩く風景。「アフリカ園も雨期だね」と、不思議なわくわく感だ。
 探検するように回っていくと、目的の一つ「グーグーテラス」が見えてくる。小高い丘に立つレストランは、外観も中もおしゃれ。西と東の両面がガラス張りで、どこに座っても眺めがいい。そしてまた、メニューも楽しいのである。
 迎えてくれたのは、仙台市公園緑地協会・事業課食堂担当の中里裕美子さん(50)。楽しいメニューについて伺った。2017年4月のオープンに合わせ、動物園らしいメニュー作りをと試行錯誤したそう。そして、誕生した一つ「しろくまプレート」は名前ばかりでなく、見た目もかわいい一皿だ。「ハンバーグの上に、シロクマの足型チーズがのっているのですが、実際にシロクマの足の裏を観察したり、チーズをくりぬく型を探しに、東京の調理道具の街・かっぱ橋まで行ったりしました」とにっこり。
 運ばれてきたしろくまプレートは、目にも舌にも心にも優しい食事。デザートには、これまた楽しい「ヤギさんチョコパフェ」、さらに、地球環境の視点から厳選されたというコーヒーを、のんびりといただく。
 幸せなお昼を楽しんだ2人。次に、もう一つの目当てである動物の食事の様子を見ようと、ふれあいの丘へ。ここでは、ヤギたちが思い思いに青草をはんでいる中、トカラヤギの赤ちゃんが、青草を食べてはお母さんのおっぱいをねだっている光景にほのぼのである。「毎日、午前11時30分から『えさやり体験』もあるんですよ」と教えてくれるのは、仙台市八木山動物公園飼育展示課の小川由貴さん(30)で、さらにゾウの餌やりの現場も案内してくれるという。
 運動場からゾウ舎に入ってきたのは雄のベン、雌の花子、メアリー。並んだ光景は圧巻だ。早速、飼育員さんたちと獣医師さんが「ターゲットトレーニング」という餌やりを始める。「足を上げて」と飼育員さんが言うとゾウが足を上げ、獣医師さんが爪を確認するといった具合。「花子、座れ」で耳脇から採血したり、背中の泥を落としたり。その1回ごとにご褒美のバナナをあげる。これは、健康状態の確認であると同時に、繁殖のためのホルモンの検査も兼ねているのだという。
 全てのチェックが終わると飼育員さんは、子どもによしよしをするように、ゾウの牙をちょんちょんとなでる。その後が本当の夕食で、食べているゾウも満足そうだが、見守る飼育員さんたちはそれに輪をかけてうれしそう。国内で2番目に長寿のメアリーが一度立てなくなってから再起できたのも、こうした愛情豊かな飼育のおかげに違いない。
 園で1番食べるのがゾウで、1日なんと100キロ。いっぱい食べて、賢くて、優しいゾウが、1番のいやすこ動物なのはうれしい。

◎1番餌を食べるのはゾウ

 八木山動物公園には120種以上、約600匹の動物がいる。1番食べるのがゾウ、次いでサイ、カバ。反対に、小食なのは蛇で、餌やりは週1回である。
 飼料は、動物園の飼料室で保管・調理・配分が行われる。草食動物用のニンジンやサツマイモなどの生野菜は近所の八百屋さんから3日に1度仕入れ、当日分は動物別のカゴに入れられる。他にはペレット(ドッグフードのようなもの)が大きさも各種あるほか、夏の今だけは、新鮮な青草も餌として出される。飼料室にはこのほか、肉食動物用の馬肉などが積まれた大きな冷凍庫、ジャガイモや卵をゆでるといった調理コーナーがある。
 ちなみに、動物への餌やりは、入園者15人までが100円の餌を買ってできる体験だが、天候や動物たちの健康状態によっては中止の場合もある。
 また、ゾウの花子は、東北の3動物園の連携によるアフリカゾウ繁殖の取り組みとして、当園のリリーと交換で、秋田市の大森山動物園からやって来ている。
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 土地には、その土地ならではの食があります。自他共に認める「いやすこ(仙台弁で食いしん坊のこと)」コンビ、仙台市在住のコピーライター(愛称「みい」)とイラストレーター(愛称「画伯」)が、仙台の食を求めて東へ、西へ。歩いて出合ったおいしい話をお届けします。


2020年08月03日月曜日


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