特集

<伝えたい戦争体験>逃げ回る親子救えず

小野寺哲さん

◎仙台市青葉区・無職 小野寺哲さん(89)

 中学校卒業後に兵隊として中国東北部に渡り、後にソ連国境の部隊に配属されました。シベリア抑留も経験しましたが、今でも忘れられないのは中国東北部での出来事です。
 戦いのさなかに車で走っていると、日本人の母親と2人の子どもが逃げ回る場面に遭遇しました。車に乗せてあげたかったけれど、部隊で下っ端の身にはどうすることもできなかった。それなのに、親子は「兵隊さん頑張ってね」と励ましてくれたのです。
 親子がその後、どうなったかは分かりません。最も悲しい思い出の一つです。助けてあげられなかった心の傷は、死ぬまで消えないと思います。
 戦地の記憶をたどるのは苦しいことですが、仙台市の戦災復興記念館で週に数回、戦争体験の語り部をしています。語り継ぐことが、生き残った者の責務。二度と戦争が起きないよう、元気なうちは続けたいと思っています。


2015年08月18日火曜日


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