避難所でも食物アレルギーに配慮を 命に関わる誤食 熊本地震

食物アレルギーの対応食を発送するNPO法人「アトピッ子地球の子ネットワーク」のスタッフら=東京都新宿区

 避難所や救援物資の食料を安心して食べたい−。熊本地震で被災した食物アレルギー疾患の子どもや家族、周りの人はどんな点に注意すればいいのか。専門家は「アレルギー物質の誤食は命に関わりかねない」として、避難所の管理者らの理解が不可欠と指摘。被災地にアレルギー対応食を送り、相談を受ける活動も始まっている。
 食物アレルギー患者を支援するNPO法人「アトピッ子地球の子ネットワーク」(東京都)は20日から、食品メーカーなどに提供を受けた対応食を、被災した患者や家族に送っている。希望する患者や家族には、宅配便での配送が可能な地域ならば、個人宅でも避難先でも無償で提供する。電話番号は03(5948)7891。相談も受け付けている。
 事務局長の赤城智美さんは、阪神大震災や東日本大震災などで患者を支援した経験から「『非常時だから』と、疾患を申し出るのをためらう人は少なくない」と懸念。「誤食事故を防ぐため、食べられない食材を周囲に伝えて」と呼び掛ける。子どもが避難先で周囲から食べ物をもらうこともあるため注意が必要だ。
 避難所を運営する人に対しては、「患者には名乗り出てもらい、症状をできるだけ丁寧に聞き取ってほしい」と要望。炊き出しで使った食材を、避難所の掲示板に書き出したり、使用した食材の容器などを避難者の目に付きやすい場所に掲示したりすれば、食べても問題がないか、患者が判断しやすいという。
 日本小児アレルギー学会も、避難所の管理者などに「配給や炊き出しのときに、食物アレルギーの人がいるかどうか一声掛けて」と呼び掛ける。大勢の食事を調理する現場では、患者への個別対応は簡単ではないことも踏まえ、「食材を患者に分け、個別に調理することも認めてあげて」としている。救援物資の中に、アレルギー対応の食材やミルクがあれば、患者が優先して受け取れる配慮も必要だとしている。
 同学会は、災害時のアレルギー患者への対応法をまとめたパンフレットをホームページで公開。電子メールでの無料相談も受けている。

<食物アレルギー>アレルギー疾患の一つで、卵や乳成分、小麦、ピーナツなど特定の食物を食べると発症する。国内では乳児の5〜10%、幼児の約5%に食物アレルギー疾患があるとみられる。
 生後間もなく発症し、成長につれて症状が軽くなるケースが一般的。症状は人によって異なり、全身のかゆみや嘔吐(おうと)のほか、呼吸困難に陥るケースもある。特に注意したいのは「アナフィラキシーショック」と呼ばれる急性アレルギー反応。原因となる食物を口にした後、短時間で症状が現れ、血圧が下がったり意識をなくしたりする重い症状が出て、死亡することもある。

(2016年04月26日朝刊掲載)


2019年10月15日火曜日


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