被災地では食中毒の防止徹底を 配給品は全て再加熱 保存利く缶詰重宝 熊本地震で備え再確認

サバ缶チャーハン。食後に洗わずに済むよう、ホイルで覆った皿に載せる

 地震などで大きな被害が出ると、被災地ではなかなか支援物資が行き渡らず、困難な状況が続く。防災教育の専門家で料理研究家の坂本広子さんは、このようなとき一番気を付けたいのは「食中毒」だと指摘する。食料や水が不足する中で、健康を維持するための心構えや調理法を聞いた。

■菌との闘い

 「まずは、いかにして体を壊さないか」が肝心という。被災地では手洗いの水も不十分な上に、避難所などでは集団で食べる機会が多い。「いろいろな食品が配給されますが、清潔かどうか分かりません。できれば全て再加熱しましょう」
 配給する側ももらう側も、素手で食品を触らないのが大原則。「とにかく、食材に菌を付けない、増やさない、やっつける。菌との闘いです」
 こういう現場で役立つのがキッチンばさみやピーラー(皮むき器)、スライサー。「まな板は菌が繁殖しやすいので、できるだけ使わないで」。調理器具代わりに使える小さなポリ袋は、多めにストックしておこう。
 熊本地震では避難所に入れない人も。阪神大震災で自身も被災した坂本さんは「都市部では特に、まず避難所に入れないと考えた方がよいです」と注意を促す。
 とすれば自宅にある物を活用して急場をしのぐほかない。坂本さんが推奨するのが「災害時しか食べない乾パンなどではなく、お米やそうめん、パスタなど、日常食べるものを常に多めにストックしておく」備えだ。また、「サバのみそ煮」など味付きの具材が入った缶詰は、保存が利いて調味料とタンパク質を兼ね備えるので重宝する。
 水は、飲料用だけで1日1人2リットルは必要だ。4人家族であれば、1週間で2リットルボトル28本分。「ベッドの下にでも入れておき、古い物から使って入れ替えていきます」

■備蓄が大切

 調理に必要な熱源は複数あると心強い。「最初はカセットこんろを使い、比較的復旧が早い電気が通ったら、電子レンジや炊飯器、特にIH(電磁誘導加熱)のポータブルこんろが役立ちます」
 なるべく栄養を考えた食事になるよう工夫する。例えば、おにぎりをポリ袋の中で卵と混ぜ、「サバのみそ煮」や「サンマのかば焼き」などの缶詰を加えて炒めたチャーハン。ビタミンCや葉酸を含む緑茶の茶葉を少々、塩とともにご飯に混ぜたお茶ご飯。「出がらしの茶葉とご飯を、ごま油で炒めたら『茶ーハン』になります」
 ミネラルは、のりなどの乾物で補える。少量の水でもどし、しょうゆやお酢、ごま油とあえてサラダにしよう。
 「保存が利き、スーパーの棚にあるような物を普段から買い足していると、いざというとき役に立つ。一軒一軒が備蓄しておけば、地域全体としての備蓄につながります」

(2016年04月25日朝刊掲載)


2019年10月15日火曜日


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