うたの泉(707)・山に入りひと日を過ごす単独行 人に会わねば大気となるか/近藤栄昭(こんどう・えいしょう)(1944年〜)

 山に独りで登るのが単独行。世俗の誰とも出会わない山の時間にとっぷりと浸りつつ山の澄んだ大気と化す身体。<霧深く足音のみの単独行獣となりて時には吠ゆる>という歌もあります。山を登りつつ自らの足音のみが聞こえる霧深い山道。獣になって天空に向かい吠(ほ)える。自らが人間であることを忘れ、人と獣との境界が溶けていき、吠える獣と化してゆく身体。一首目が「静」ならば二首目は「動」。アニミズムの極致とも言えるうたです。(本田一弘)


2018年08月11日土曜日


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