うたの泉(728)もの思ふ麒麟のごときクレーン車 澄む秋空に佇みてゐる/秋山 佐和子(あきやま・さわこ)(1947年〜)

 古来、秋は「もの思ふ」季節。人間ばかりではありません。この世にあるもの全てが「もの思ふ」季節なのです。クレーン車を「麒麟(きりん)」に見立てて詠まれた歌はよくあるのですが、この歌は「麒麟」そして「クレーン車」も「もの思ふ」と歌っているところが魅力的です。また、「佇(たたず)みてゐる」と擬人的に歌われたことにより、秋の静かな時間のゆったりとした流れを感じます。澄み切った秋空も、もの思いにふけっていたのかもしれませんね。(本田一弘)


2018年09月05日水曜日


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