うたの泉(972)地表とはさびしいところ 擦っても擦っても表だけだ、と風が/服部真里子(はっとり・まりこ)(1987年〜)

 風は吹き過ぎるとき何を感じているのだろう、と作者は考えています。「擦っても擦っても表だけだ」には、思うところに届かないもどかしさや徒労が込められています。そして地表が硬く広がっている厳しさを感じさせます。風は地表と語り合うことができないまま通り過ぎるだけなのです。風や地という思考や感情を持たないもの、人間よりも大きなものを通して見る世界。見慣れたもの、見過ごしてきたことが新たな表情を持ち始めます。
(梅内美華子)


2019年06月21日金曜日


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