うたの泉(975)青くして角(つの)の尖れる我の鬼(おに) 檻にし入れて久しくも見ぬ/稲森宗太郎(いなもり・そうたろう)(1901〜1930年)

 「我の鬼」は激しい情念のことを指しています。自分の中に怒ったり恨んだりする心がある。あるいは何かに集中して他を省みない性分がある。それを「檻(おり)」の中に閉じ込めるように抑え込んだというのです。自らを律することにも力が要ります。「青くして角の尖(とが)れる」は時間がたってから客観的に振り返った見方ではないでしょうか。作者は結核を病み、死の前に<水枕に頭うづめつつアルプスの雪渓の中にひとりわがゐる>と詠みました。
(梅内美華子)


2019年06月25日火曜日


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