うたの泉(978)そつと包めば蛍はともる、われの掌の底に寂しき街あるごとく/高島裕(たかしま・ゆたか)(1967年〜)

 水田に舞うホタルを見に行ったことがあります。暗い空間に淡い光がすーっと飛んだり、ふわふわと蛇行したりしていました。手の中に閉じ込めたい衝動にかられました。この歌で作者は両の掌にホタルを包み込んでいます。腹部が光るのをともしびのように「ともる」と見て、「寂しき街」を連想しました。小さな光の明滅に人恋しさを感じたのです。近づきがたい遠い街のともしび、その幻を手に包み込んだ青年の孤独が浮かび上がってきます。
(梅内美華子)


2019年06月28日金曜日


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