うたの泉(983)人あまた乗り合ふ夕べのエレヴェーター 桝目の中の鬱の字ほどに/香川ヒサ(かがわ・ひさ)(1947年〜)

 エレベーター、好きではありません。知らない人たちと小さな箱の空間を共有し、命を1本の綱に預けているなんて。高い場所が苦手なので、独特の浮遊感にため息が出ます。掲出歌、一読して分かる、分かる。もしかしたら、外は雨模様なのかもしれません。湿度が高く、人の多いエレベーター。桝目(ますめ)の中に詰められた画数の多い「鬱(うつ)」の字を思い浮かべている作者。混雑したエレベーターに乗る時、この一首を思いだして少し楽になれそう。
(駒田晶子)


2019年07月04日木曜日


先頭に戻る