うたの泉(985)鉄棒の鉄が匂へり できぬ子の くやしさの粒きれぎれに落つ/山口明子(やまぐち・あきこ)(1971年〜)

 鉄棒は子どもにとって最初の試練。前回り、逆上がり、足掛けあがり…。何度も何度も必死に鉄棒に食らいつき練習しているわが子。近くにいる母親には鉄棒の鉄の匂いが漂ってきます。切ない匂いです。心の中で声援を送り、ただじっとその様子を見守る母親のまなざし。「くやしさの粒」は涙のこと。ぼろぼろと子どもの頬の上を涙がこぼれていく様子が巧みに表現されています。「つ」という語のもの悲しい響きが印象に残る歌です。(本田一弘)


2019年07月06日土曜日


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