うたの泉(994)こぎのぼる舟の櫂(オール)の水の音(と)の 全自動洗濯機<洗い>へ進む/渡英子(わたり・ひでこ)(1952年〜)

 一読し、びっくり。舟が出てくるので水辺での一首かと想像していたら、洗濯機という裏切り。しかも「全自動洗濯機」。短歌の素材として使ってみようと思う人は少ないと思います。しかしながら、とても短歌的な仕上がりです。洗濯機の回る音を聞きながら、ああ、本当だ、舟をこぐ音のようだと一首を思い返してみたりして。日常生活の中から、思いがけない素材をぶつけ合わせ、驚くような非日常の世界へ飛んで行ける短歌の定型。
(駒田晶子)


2019年07月18日木曜日


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