うたの泉(995)わすれ草わが紐に付く香具山の故りにし里を忘れむがため/大伴旅人(おおともの・たびと)(665〜731年)

 『万葉集』巻三にある歌です。奈良県の香具山は大伴旅人にとって故郷の風景です。忘れ草は憂いを忘れさせる草という意味の名。懐かしいと思う情を断ち切るために、忘れ草を衣の紐(ひも)に付けているという。旅人が大宰帥(だざいのそち)(長官)に任ぜられて赴任した時にうたわれました。63歳ぐらいだったそうです。老年の身で遠い国への赴任はつらいものがあったことでしょう。忘れ草はカンゾウ、ヤブカンゾウのことで、夏に朱色の八重の花が開きます。(梅内美華子)


2019年07月19日金曜日


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