うたの泉(997)夏帽子押さへてゐたり海かぜに 茅花の穂吹かれわれも吹かれて/河野愛子(こうの・あいこ)(1922〜1989年)

 「茅花(つばな)」って何だろう、と調べてみて納得。川べりに生え、いつもさやさやと風に揺れている草の名前でした。掲出歌の場所は、海。少し強い風なのでしょう。飛ばないように帽子を押さえている作者の姿が浮かび上がります。この一首は、「茅花の穂」と「われ」が同等なのが、とても魅力的です。どちらも風に吹かれている。第四句が一音字余りで結句に流れこみます。結句は七音。言いさしの形で終わります。静かで豊かな夏の一首です。
(駒田晶子)


2019年07月21日日曜日


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