うたの泉(1109)霜の夜の卓のikura(イクラ)をかむわれに 逝きし者らの翳が横切りぬ/小高賢(こだか・けん)(1944〜2014年)

 イクラ、大好きです。歯でかんだ時がたまりません。掲出歌から楽しさは伝わりません。「霜の夜の」という初句から寒く暗い場面を想像します。作者の前を横切るのは「逝きし者らの翳(かげ)」だという。普段の食卓にイクラが出ることはありません。高級食材だからです。なぜ「ikura」とローマ字にしたのか。平仮名よりも特別感が漂います。誰かとの会食の場面で出てきたのかもしれません。結句は字余りです。思いだされる人たちの翳。
(駒田晶子)


2019年12月01日日曜日


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