うたの泉(1285)傘の骨から剥がされたビニールが 最期に風の身体になった/近江瞬(おおみ・しゅん)(1989年〜)

 安価なビニール傘は壊れやすく、荒天の後に路上に捨てられています。処分するため剥がされた透明なビニールが風に舞い上がりました。「最期」は命が尽きたこと。「風の身体になった」は自由になって、生まれ変わったようです。廃棄物に詩的な命を与えました。<避難路の整備のために立ち退いた寿司屋が廃業する八年目>、石巻市生まれの作者は東日本大震災後の故郷に戻り、喪失の悲しみと風景も歌いました。歌集『飛び散れ、水たち』より。
(梅内美華子)


2020年06月26日金曜日


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