<とびらを開く>旅人と歩む復興の道 みちのくトレイルクラブ

(上)みちのく潮風トレイルの統括本部を担う名取トレイルセンター
(下)名取トレイルセンターには各地の情報がそろう

 「みちのく潮風トレイル」が6月9日、全線開通しました。八戸市−相馬市の4県28市町村をつなぐ全長1000キロを超えるロングトレイル(長距離の歩くための道)。東北沿岸の地域と旅人の交流を図るとともに、自然と共生する暮らしや文化を生かし、東日本大震災からの復興を進めることを目指しています。
 トレイル設定は環境省による「グリーン復興プロジェクト」の一環。全線を管理するのは、NPO法人みちのくトレイルクラブ(名取市)です。
 「車や電車で観光スポットを巡るのと違い、歩くことで地域の暮らしと自然を一連のストーリーとして体感できる」と常務理事の相沢久美さん。旅人が地域に入っていく中で生まれる「地元の人との交流も魅力」とも言います。
 例えば、長距離を歩きボロボロになった旅人が食事をごちそうになった時のエピソードがあります。
 地元の人が旅人に「周りもみんな被災している。自分には周囲の被害程度が分からないので、震災のことを話題にしていいかどうか…。外から来た人にだからこそ話せる」と胸の内を語ってくれました。旅人は「この地を訪れ、地元の人と出会い、話を聞けて良かった」と思ったそうです。
 トレイルがあることで、地元住民と来訪者に新たな関係性が生まれています。観光による経済効果だけでなく、人々の暮らしや思いを旅人が再発見し、つないでいく。そのきっかけになっているのがトレイルです。
 「今後100年、200年と、この道を残していくには、地域の皆さんが道を大切に思い、ケアし、歩く人たちを迎えてもらうことが必要。そのために、地域の方々へもトレイルの存在と魅力を広めていきたい」と、相沢さんは今後の展望を話してくれました。
(特定非営利活動法人せんだい・みやぎNPOセンター 櫛田洋一)

◎参考情報

名取トレイルセンター 名取市には「みちのく潮風トレイル」の統括本部を担う名取トレイルセンターがある。トレイルの通る各地の情報、地元の声、トレイルを歩いた人の声を発信する。シャワーや洗濯室など旅人の支援設備、地域住民らと交流できるスペースもある。開館時間は午前9時〜午後5時(12〜3月は午後4時まで)。火曜と1月1日休館。

〒981−1213
名取市閖上5の300の31の1
022(398)6181
https://www.mct-natori-tc.jp


2019年08月26日月曜日


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