<NPOの杜>母親同士助け合う場に NPOおひさまキッズ

子育て中の母親たちが集うNPOおひさまキッズのサロン

 新しい命の誕生は、誰にとっても、いつの時代であっても、うれしい出来事です。初めてわが子に出会う時、いとおしさを感じ、言葉にできないほどの幸せを味わうものでしょう。しかしその後、これから始まる子育てに悩みや不安を抱く時期がやってきます。
 近所のつながりが深かった一昔前は、いわゆる井戸端会議で悩みを共有し、先輩たちがアドバイスしたり見守ったりしてくれました。時代が変わって共働き世帯が増えると、母親たちが悩みを打ち明けられる人も場所も少なくなっていきました。
 特に仙台市は転勤族が多く、こうした人たちにとっての子育ては、知らない土地であるがゆえに、悩みや不安が大きくなってしまいます。
 「NPOおひさまキッズ」は仙台市宮城野区のみやぎNPOプラザで、定期的にサロン活動をしています。今年で18年目。代表の平塚香代子さん(52)が「子育てが一段落した時、同じ転勤族の母親同士で地域の子育てを応援したい」と始めました。「子育て支援」という言葉がまだ十分には浸透していなかった時代です。
 最初に取り組んだのは交流や支援。子育て中の母親が語り合ったり、団体のメンバーが自身の子育て経験を生かして子育て中の母親を助けたりしました。つまり、井戸端会議のような「居場所づくり」に取り組んだのです。
 会員制交流サイト(SNS)が発展する以前の話。にもかかわらず、情報を聞き付けた「約20人ものお母さんたちが子どもを抱えながら参加した」そうです。それほど、ニーズがあったと言えましょう。
 その後、仙台の「子育て支援」もようやく動きだします。「のびすく仙台」が2004年、市中心部にオープンするなど、支援拠点が誕生。徐々に子育て環境が変化していきました。
 一方、労働のスタイルも変わりました。「夫婦ともに正社員」「夫は正社員、妻はパート」など、共働き世帯の働き方は多様化し、保育や託児のニーズは一段と高まりました。さらに虐待やDVなどの問題も表面化し、子育てを地域社会で支える動きや法整備の動きが広がりました。
 それでもなお、「子育て環境は良くなっている」とは言い難いのが現状です。例えば、男性の子育て参加。厚生労働省によると、18年度の育児休業取得者の割合は、女性の82.2%に対し、男性は6.16%。前年より1.02ポイント上昇したものの、依然として低い水準です。
 就労と子育ての両立は大変で、それぞれに悩みはつきもの。サロンでは「そういった男性の子育て参加について悩みを打ち明ける人が多い」そうです。
 「一般に、母親になるということは、結婚して数年たったということ。つまり『母親になりたて』であり、『家族のつくりたて』の時期でもある」と平塚さんは言います。
 誰もが不安を抱えて当然。同じ境遇にある人たちが交流することで、心は癒やされる。サロンの取材を通じて「井戸端」の大切さを痛感しました。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 丹野伶菜)


2019年09月30日月曜日


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