<東北の本棚>東北は24件 魅力伝える

◎産業遺産巡礼《日本編》 市原猛志 著

 「明治日本の産業革命遺産」が2015年に世界文化遺産に登録され、「産業遺産」という言葉が知られるようになった。1999年から研究に携わり、1万件超を踏査した著者が、膨大な記録の中から200件を厳選。600点を超すカラー写真を添え、その価値や見どころを解説し、巡礼の旅へいざなう。
 東北では青森県を除く5県の計24件を紹介。このうち岩手県では、世界遺産に登録された釜石市の橋野鉄鉱山の高炉跡を取り上げ、明治初期に盛岡藩士大島高任が礎を築いた近代製鉄の歴史を伝える。
 秋田県では、阿仁鉱山(北秋田市)の外国人官舎をピックアップ。1882年に完成した赤れんがの洋館は近代化の象徴であり、外国からもたらされる技術や社会制度への憧れを具現化したものではないかと考察する。
 福島県では、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定される下郷町の大内宿を紹介。1640年代から近年まで、昔ながらのかやぶき屋根住居に人々が暮らし、農業を営んできた点に、都市とは異なる価値があると指摘する。
 仙台市青葉区の元大東京火災海上保険仙台支店(西欧館)、長井市の旧羽陽銀行長井支店など、身近な街角の産業遺産の魅力も伝えている。
 著者は1979年北九州市生まれ。産業考古学会理事。
 弦書房092(726)9885=2376円。


2019年09月08日日曜日


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