<東北の本棚>宝探し通じて友情育む

ぼくんちの海賊トレジャ 柏葉幸子作、野見山響子絵

 小学4年生の良太が学校から帰宅すると、帆船が空から家の屋根に落ちてきて、海賊トレジャと名乗る大男が現れる。自分勝手なトレジャに振り回され、良太は嫌々ながら宝探しを手伝うことに−。盛岡市在住の児童文学作家による新作ファンタジー。海賊と少年の間に芽生えた友情をユーモラスに描いた。
 トレジャは「この世の果てにあるという青くて四角でうたうもの」を必死に探している途中だという。「おまえ、たからもの、もってるだろ?」「だせ!」。良太の家の中や近所のごみ集積所を思いつくまま物色する。
 良太が友達から返してもらった漫画から飛び出してきたトレジャ。不思議なことに、その姿が見えるのは良太と近所の犬チロだけだ。家を散らかしたことで母親に怒られた良太は不満を募らせる。一刻も早くトレジャに立ち去ってもらおうと、本腰を入れて協力することを決める。
 宝探しを続ける中で、自分たちにとって本当に大切な物の存在に気付き始める二人。ばらばらだった心の距離が縮まる様子はじんわりと温かい気持ちにさせる。
 著者は1953年宮古市生まれ。「霧のむこうのふしぎな町」で日本児童文学者協会新人賞を受賞。主な作品に「つづきの図書館」「地下室からのふしぎな旅」など。
 偕成社03(3260)3221=1296円。


2019年09月22日日曜日


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