<東北の本棚>人材づくり 地域と歩む

世界最先端の社員教育 篠木雄司 著

 福島市のガス会社「アポロガス」の新入社員研修が注目を集める。「自分で考え、行動する」習慣の徹底が基本。人工知能(AI)で激変する社会にどう対応するか。中小企業の人づくりの実践にヒントが隠れていそうな一冊だ。
 ラジオDJを務めたり、クリスマスに特殊支援学校を訪問したり。同社の新人研修は50日間で平均30種、リポート20本を書く。未経験のことに挑戦させるのにこだわる。ハードルを乗り越えようと考え、再トライする繰り返しで人は成長するとの考えだ。
 ガスや発電、売電などライフライン事業を総合展開する同社。目指すのが、地域の人々を元気にする「元気エネルギー」の供給だ。
 理念が真に共有されたのは、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故だった。明かりが消え、放射能汚染の恐怖があり、心が沈みがちだった福島のまち。全社員が「お客さんを残して行けない」と踏みとどまった。福島競馬場でのキャンドルナイト企画など復興支援にも取り組んだ。
 これからの次代、組織の存続と活性化に何より必要なのは人材。そんな当たり前のことを納得させてくれる。
 著者は福島市出身。2007年にアポロガス社長、今年5月から会長。同社は中小企業庁の「がんばる中小企業300社」に選ばれた。
 あさ出版03(3983)3225=1650円。


2019年11月03日日曜日


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