<東北の本棚>大変革期800年の営み

◎縄文ムラの原風景/御所野縄文博物館 編

 2021年の世界文化遺産登録を目指す国内候補に「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田3県)が決まった。岩手県一戸町の御所野遺跡は17ある遺跡群の一つで、縄文中期後半の約800年間、定住生活が続いたことを示すムラの跡が残されている。本書は最新の調査・研究の成果から見えてきた縄文世界を紹介している。
 御所野遺跡は馬淵川東岸の台地に位置する。馬淵川とその支流、豊かな森の近くで狩猟・採集・漁労を中心とした暮らしが営まれていた。ムラ一面に草原が広がり、住まいである竪穴建物は土屋根だったことが、発掘調査と建物焼失実験で分かり、縄文ムラのイメージが一新された。
 ムラには竪穴建物群が点在していたが、東北南部の土器文化圏からの影響を受け、墓と祭祀(さいし)を中心とする環状集落に大きく変化。その後、ムラは竪穴建物群が周辺に分散する一方、中央の墓域には配石遺構群と掘立柱建物群が出現する。ここでムラ全体の祭祀を行うことで、紐帯(ちゅうたい)を強めていったと考えられるという。
 御所野縄文博物館の高田和徳館長は「御所野遺跡は中期後期の縄文社会の大きな変革期をもっとも具体的にあらわしている」と記す。本書には写真や図版も数多く掲載されており、縄文人からのメッセージが伝わってくるようだ。
 新泉社03(3815)1662=1760円。


2020年03月22日日曜日


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