<まちかどエッセー・鈴木弘二>つららのある家

[すずき・こうじさん]建築家。61年仙台市生まれ。日大理工学部建築科卒、同大大学院修了。現在、鈴木弘人設計事務所代表取締役社長。日本建築家協会本部理事・副会長、東北支部長。東北大、仙台高専、宮城大で非常勤講師を務めた。仙台藩香道と料理、釣り、ゴルフ、旅行が趣味。仙台市青葉区在住。

 今冬は本当に寒い日が続きました。そういえば、昔は冬になると近所の家々の屋根に雪が積もり、軒先にはつららが下がったものでした。子どものころは、大きいつららを取っては友達と遊んだものです。
 最近つららを見なくなったと思いませんか。それは、寒さのせいではなく、実は、家の造りが変わったからなのです。
 日本の家は昔から「夏向きに造りなさい」と言われており、床を高くし、建具を巡らせて開放的な間取りにし、屋根は切り妻や寄棟型にして軒を深く出し、雨に備える家の構えとしました。
 それ故、じめじめした梅雨時や蒸し暑い夏でも、風通しが良く快適で、家も傷まないのです。その代わり、冬はとにかく寒く、朝起きると台所の洗いおけに薄氷が張っている家が珍しくないほどでした。
 つららのできる家は、今で言う断熱気密性能が極めて低い家なのです。居間や茶の間のストーブの熱気が上昇し、天井からどんどん逃げ屋根の隙間から排出され、屋根の雪を溶かし、それが水となり軒先に流れ、つららとなるのです。
 最近つららを見掛けなくなったのは、日本の家が冬向きに造られるようになったことを意味しています。魔法瓶のように家を高性能な断熱材で覆い、ペアガラスやトリプルガラスのサッシを設置し、外部の冷気を入れず、内部の熱を逃さない家造りに変わりました。
 現在はさらに進化し、暖冷房などに費やすエネルギーを極力抑えるエコ住宅、無暖房住宅などの考え方の家が現れてきています。
 しかし、高性能の家にも気を付けなければならない点が多々あります。密封された室内は空気汚染が進むので換気の方法をきちんと考える、夏の日差しが窓から入り過ぎて熱がこもることに注意するなどです。
 また、良い家の条件とは性能だけでなく、家族のことや機能、デザインやたたずまい、構造や材料、近隣との調和や景観などさまざま考えることが必要です。ぜひ良い家を建てたいと考えている方は、住宅設計の経験が多い建築家との家造りをお勧めします。(建築家)


2018年03月19日月曜日


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