<まちかどエッセー・鈴木弘二>AIに乾杯

[すずき・こうじさん]建築家。61年仙台市生まれ。日大理工学部建築科卒、同大大学院修了。現在、鈴木弘人設計事務所代表取締役社長。日本建築家協会本部理事・副会長、東北支部長。東北大、仙台高専、宮城大で非常勤講師を務めた。仙台藩香道と料理、釣り、ゴルフ、旅行が趣味。仙台市青葉区在住。

 先日、タクシーに乗った時、運転手さんが突然話し掛けてきました。自分たちタクシーやバスの運転手は若い人のなり手がなく、自分も年だけれど辞めることすらできないと、半分自慢げにぼやいていました。
 「でもね、運転手さん。人工知能(AI)の技術が進化し、自動運転による無人のタクシーやバスが開発されると、運転手さんの仕事がなくなるかもしれませんよ」と返したら、運転手さんは少しむっとした感じで「そうなんですか」と不安げに返事をしてきました。
 現在、このAIの研究、AIとコンピューターの研究、それと連動する機械、つまりロボットの開発が世界中で猛烈な勢いで進められていると言われています。
 10〜50年後には、人の仕事のかなりの部分にAIが浸透し、優れた人型AIロボットが開発されると、職そのものを代行するようになり、人が今まで携わってきた多くの職種が奪われると、AI関係の本や大学の先生方が述べています。
 一見信じがたいですが、確実に私たちが直面することになるようです。私が携わっている建築や建築設計の分野でも、AIによるイノベーション(技術革新)により、AI建築家やAI技術者が現れるでしょう。
 私たちが普段行っている建築物の設計や計画、構造や環境解析、法規やコスト解析、デザイン、建設工法などを、人に代わり時間をいとわず考えるでしょう。最適化、合理化、生産性の向上などをひたすら目指し、さらに3Dプリンターやロボットを活用した新たな生産体制を構築し、今までとは全く違う建設産業の姿をつくりだすと思われます。
 それに伴い、多くの技術者、建築家、職人などが職を失うことになると考えられ、他の産業も全く同じことになると言えます。
 昨今、働き方改革の議論が注目を集めていますが、未来においては、今のような労働の概念が崩れると予想されます。私たちは、将来どのように収入を得、家族と共に生きていくことができるか、想像もつかないAI社会に組み込まれることになるのかもしれません。不安と楽しみの未来に乾杯です。(建築家)


2018年05月21日月曜日


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