<まちかどエッセー・高橋清博>丸森斎理の幻の一夜

[たかはし・きよひろさん]イベントプロデューサー。オフィスQ代表。祭り、ステージ、展覧会など幅広い分野で制作活動を展開。主なものに、仙台・青葉まつりすずめ踊り、定禅寺ストリートジャズフェスティバル、とっておきの音楽祭、丸森斎理幻夜、縄文人記憶の宴、エフエム仙台「飛び出せ高校生諸君!」など。1953年、宮城県柴田町生まれ。

 宮城県丸森町の斎理屋敷とその周辺で年に1度、8月に開催される幻の一夜、大正〜昭和初期の時代に町ごとタイムスリップするのが「斎理幻夜」です。
 その幻の夜、小道には約1000基の絵灯籠が置かれ、和紙に映るロウソクの炎の揺らめきに思い出が浮かび上がります。蔵の屋敷では丸森の語り部たちが、柔らかくあったかい丸森弁で、大切に伝えてきた地元の昔話を語ってくれます。明かりを落とした通りには、怪しい紙芝居屋さんや、アイスキャンデー売り、大道芸人も出現します。
 蔵の中や洋館、外の庭舞台では、落語や似顔絵描き、津軽三味線や地元の中高生の吹奏楽、太鼓演奏などが楽しめます。
 江戸時代後期から昭和初期にかけ、呉服・太物、絹織物や綿・麻織物の商いに始まり、みそ・しょうゆの醸造、縫製業など幅広い事業を展開した斎藤家は、代々主人が「理十郎」「理助」など「理」が付く名前で、「斎理」の屋号で商いを行い、7代にわたり栄えた豪商です。
 その屋敷および収蔵品全てを町が寄贈を受け、「蔵の郷土館」として開放したのが斎理屋敷です。
 「斎理幻夜」を始めた頃は「この幻の夜の祭りを体験した子どもたちが大人になった時に、子どもの時過ごしたあの幻の一夜は本当にあったのだろうか?本当は幻だったのではないだろうか?と思う祭り」を目指そうと町の人たちとよく話をしていました。
 最初の頃は斎理屋敷にまつわる逸話を題材に、影絵やお芝居、ジャズコンサート、弁士付き無声映画などを企画し、斎理屋敷に泊まり込んで「幻夜」の制作に当たったりもしました。
 そして、当時小学校の鼓笛隊で「斎理幻夜」に出演した子どもが大人になり、丸森町役場に入り、「斎理幻夜」の担当となるくらいの時を重ね、今年30周年を迎えるのです。
 今年の斎理幻夜のテーマは「祝宴〜開館30周年〜」。8月11日(土)、丸森斎理の幻の一夜に、あなたも来てみませんか?
(イベントプロデューサー)


2018年07月30日月曜日


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