<まちかどエッセー・小野寺志乃>面白がる力

[おのでら・しのさん]2013年慶応大大学院政策・メディア研究科修了。一般社団法人FLAT代表理事。デジタル工作マシンを備えた工作室「FabLab SENDAI−FLAT」の運営のほか、ワークショップやプロダクトのデザインなどに携わる。趣味は立ち飲み屋巡り。1989年、仙台市生まれ。仙台市太白区在住。

 誰でももの作りを楽しめる工作スペースの運営で、必要不可欠な役割が二つあると言われています。
 一つ目はスペース運営を支えるマネジャーです。快適な工作環境にするための設備のコーディネートはもちろん、イベントの企画や広報など、縁の下の力持ち的な役割を担っています。二つ目は、もの作りに詳しいエンジニアです。利用者への的確なアドバイスに加えて、スペース内のさまざまなマシンや道具のメンテナンスなども担当します。
 しかし、私はもう一つ重要な役割があると思います。人の作品を面白がってくれるチアリーダーです。
 何かを作るというのは、とても骨が折れるもの。作りたいものを考え、設計して材料を加工し、組み立てて…と完成までに多くのプロセスを経なければいけません。作っている最中には「失敗したらどうしよう」と不安になることや、「一体何の役に立つのだろうか?」とくじけそうになることもしばしば。そんなとき、自分の作品に興味を持って話を聞いてくれる存在はとてもうれしいものです。
 このチアリーダーの役割は、スタッフだけが担っているわけではありません。
 工作スペースには「自分ではやらないけれど、誰かがものを作っているのを見たい」という方が時たまお越しになります。そうした方々は、利用者の話を楽しそうに聞いて回り「素晴らしいですね!」と気持ちを盛り上げる言葉を掛けてくださることも。ご本人はその気はないかもしれませんが、そうやって関心を持ってもらえることが作品製作への原動力となるのです。
 利用者自身も自分の作品について他の人に説明をすることで、徐々に思考が整理されていき、それが新しいアイデアにつながっていくという効用もあります。
 このように、いろいろな分野を面白がることができる人や能力も、私たちにとって、なくてはならないものなのです。工作スペースはものを作る人のための場と思われがちですが、広くもの作りに興味のある人たちが気軽に訪れられる場でありたいと強く思います。
(ファブラボ センダイ・フラット運営)


2018年11月26日月曜日


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