<まちかどエッセー・小野寺志乃>奥の深いカップ酒の世界

[おのでら・しのさん]2013年慶応大大学院政策・メディア研究科修了。一般社団法人FLAT代表理事。デジタル工作マシンを備えた工作室「FabLab SENDAI−FLAT」の運営のほか、ワークショップやプロダクトのデザインなどに携わる。趣味は立ち飲み屋巡り。1989年、仙台市生まれ。仙台市太白区在住。

 子どもの頃から、少しでも心に引っ掛かったものを収集してしまう癖があります。町工場から出された金属の端材など、何に使えるか分からないものでさえコツコツとため込んでしまいます。中でも、成人してからずっと集め続けているのが日本酒のカップ酒です。
 カップ酒というと、漫画などで呑兵衛(のんべえ)の登場人物が手に持っていることが多いため、取っつきにくい印象を持っている方が多いのではないでしょうか。しかしながら、最近は雑貨のようにオシャレなカップ酒も数多く販売されています。私はもの作りを生業としているため、そのたたずまいに惹(ひ)かれていると言っても過言ではありません。
 カップの材質はアルミやガラスが中心ですが、その形状は実にさまざま。特にガラス製のものは形状の種類が豊富で、ストンとした円柱形や一部がくぼんだ形、表面がゴツゴツした形のものなどがあり、持ち心地が異なるのでそれだけでも十分に楽しめます。
 カップへの銘柄や商品情報の記載方法も多様です。シールが貼り付けられていたり、紙の一部だけが接着されていたり。特に私が好きなのは、酒造会社の名前やその地域の特産物などが、1色か2色でカップに直接プリントされているもの。最近では多色プリントも多数ありますが、少ない色でプリントされたもののほうが、心が和み、ついつい手に取ってしまいます。
 また、ふたを開けたらすぐに飲めるというのがカップ酒の良さですが、自宅などでゆっくり飲む場合、少し味を足して飲んでみるのも面白いものです。
 例えば、フグのひれ酒のように、だしの出る食べ物を入れて味の深みを楽しんだり、カップに少し残したお酒におでんなどのだし汁を注ぎ、七味をパラリとかけるのもまた良いもの。手頃なお値段だからこそ、いろいろな味の実験に挑戦しやすいのもカップ酒の魅力の一つだと思います。
 寒さが厳しくなり、温かいお酒がおいしくなる季節。ぜひ一度、カラフルで奥の深いカップ酒にも目を向けてはいかがでしょうか。
(ファブラボ センダイ・フラット運営)


2018年12月10日月曜日


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