<まちかどエッセー・小野寺志乃>立ち飲み屋と私

 立ち飲み屋というと、どんなイメージがあるでしょうか。おじさんくさいとか、なぜ立って飲むのか分からないとか、いろいろな意見を持たれると思います。ゆったり落ち着ける場所で心置きなくお酒が飲めるに越したことはありませんが、それだけでは収まらないのが呑兵衛(のんべえ)というもの。適度な距離感を保ちながら、誰かとどうでもいい話をしたい日だってあるのです。
 私が初めて立ち飲み屋に行ったのは、忘れもしない5年前の誕生日でした。当時は新しい仕事に就いたばかりで毎日ストレスだらけ。発散したいと思っても一緒に飲みに行ける友人は近くにおらず、毎日モヤモヤした気持ちで帰路に就く日々を送っていました。
 そんなときに迎えた誕生日。新しいことをやりたいという気持ちが抑えきれなくなった私は、昔から憧れていた立ち飲み屋デビューを試みることに。いきなりお店に向かうのは緊張するので、回転ずしへ一人で行くという夢もついでにかなえ、おすしとお酒をたっぷり楽しんで酔いが回り、怖いもの無しになったところでいよいよ立ち飲み屋へ。
 「お邪魔しまーす」と初めて立ち入ったのは、お客さん同士が一列に肩を並べる一文字型のカウンターを備えた立ち飲み屋でした。ぎゅうぎゅうのカウンターにもじもじしながら滑り込むと、店員さんから早速「何飲みます?」。「とりあえずオススメで!」と返事をすると、あっという間にお酒が用意され、全員で「カンパーイ」の大合唱。
 「これこそがずっと憧れていた立ち飲み屋の風景だ…!」と感動なんてすれば、さらにお酒が進んでしまう。結局、その日は2軒の立ち飲み屋をハシゴし午前さまだったのでした。今思い返すと、若いくせに何と色気のない誕生日を過ごしていたのだとわれながらあきれますが、この一歩を踏み出したことで私の生活は鮮やかさを増したと言っても過言ではありません。
 そして実は、この記事が掲載された翌日は私の30歳の誕生日。今年はどこのお店で過ごそうか、今からワクワクしています。
(ファブラボ センダイ・フラット運営)


2019年01月28日月曜日


先頭に戻る