<まちかどエッセー・若蝸_美>人前で読むということ

 5年前から、仙台市内の喫茶店を拠点に朗読のチームを主宰している。個人的には、マイクを使わずに生声の届くこぢんまりした範囲で読むのがいい。そうは言いつつも、屋外で焚(た)き火を囲んだ朗読会もあったし、人の行き交う旅館のロビーで読んだこともある。
 文字で書かれているものは、なんでも朗読できるし、自分自身の声があればどんな場所でも読めると思っている。自身の公演では、小説や戯曲だけでなく、過去に書いたブログ記事や歌の歌詞だけを読んでみたこともある。
 今、あなたが手に取っている河北新報の夕刊には、先月まで毎週土曜に「杜の都のチャレン人(じん)」というコーナーがあった。さまざまな分野で活動している仙台圏の個人にスポットを当て、その人となりや活動を紹介していた。
 地元のカフェとタイアップし、毎月1回、掲載された方を招いてお話を聞く「チャレン人@NewsCafe」というイベントは連載終了後も続いていて、私はこの中で掲載記事を朗読する役割をいただいている。
 「新聞記事を朗読したら面白いと思うので、やらせてください」という申し出を、イベントオーナーの鈴木圭介さんが快諾してくださり、出席できない時には録音データを流してもらって、皆勤賞を続けている。
 このステージ、普段のリーディングと違うのは、記事に書かれた主役が目の前にいること。加えて、イベントの主役は記事に書かれた方なので、わたしは目立たずに媒介に徹する必要があること。そんな気持ちで、いつも記事を読ませていただいている。
 大人になると、誰かに物語を読んでもらう機会はほとんどない。耳から入る音は、絶えず何かを判断するためになる。けれど、そういった判断は抜きにして誰かの言葉に耳を傾けるのもいいものですよ。耳から入った音声情報を脳内で再構築して理解する必要があるので、普段とは違った疲れがあるのも事実ですが。
 それを補っても余りある経験になると思うので、気になった方はぜひ「チャレン人@NewsCafe」に足を運んでいただけたらうれしい。
(朗読ユニット100グラード主宰)


2019年03月25日月曜日


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