<まちかどエッセー・若蝸_美>「好き」も、永遠じゃない

 あなたには好きなものや好きなこと、いくつありますか?
 この記事を読んでいる手を止めて、手元のメモ用紙やスマートフォンのメモ機能に、自分の好きなものを書き出してみてほしい。こんなにあったのか、と思うか、案外少ないな、と思うのか。私は、37個あった。
 いつ、とは特定できないが、ここ数年のとあるタイミングで、好きなものや好きなことに理由を付けるのをやめた。好きなものは好きなのだ。そうしたら、とても気持ちが軽くなった。
 「〜だから好き」をいちいち考えていたのは、人目を気にしていたから。そして、好きなものより嫌いなものを数え、避ける人生だったんだなぁと気付いた。好きの反対は嫌い、ではなく、無関心。好きなものに囲まれていれば、嫌いなものの存在する余地はない。
 いま一番好きなことは、休みの日、カーテン越しの暖かい太陽の光を眺めながら、豆からひいたコーヒーを入れて飲むこと。その次は、自分の作った料理を自分で食べること。自分を大事にすることよりも、「やりたいことをやる」を優先にして突っ走ってきた。いい悪い、じゃなくて、そういう時間もあった、と認めてあげる。これからももちろん、やりたいことは遠慮せずにやっていく。
 先ほど自分で書き出したことと、今、自分が時間を費やしていることを比較する。そして自分の好きなことに時間をつくれているか、を考える。自分のための時間は時給換算したらとてつもなく高いし、それくらい大事で貴重。今が楽しくなくて、明日が楽しいはずがない。明日死ぬかのように今日を生きよ。今、ここ、を大事に。
 納得いかないことを無理にのみ込み続けると、気持ちが荒(すさ)んでいく。楽しくない。そんなことをとりとめなく考える。こう思うってことは、腹落ちしていないことがどこかにあるんだな、と気付く。今すぐにどうこうできなくても、きっといつかは。
 だいぶ横道にそれたけど、これからも私は、人に迷惑を掛けない範囲で、好きなものごとを愛(め)でていきたい。嫌いを数えて避けるよりも、好きに囲まれた人生で楽しく生きていたい。
(朗読ユニット100グラード主宰)


2019年06月17日月曜日


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