<まちかどエッセー・中村匠子>けやきコカリナと紙芝居

[なかむら・しょうこさん]1957年、岩手県住田町生まれ。国立仙台病院(現仙台医療センター)付属看護助産学校を卒業。病院勤務後に子育てのため退職し、塩釜子ども劇場と出合う。2004年、NPO法人みやぎ県子ども・おやこ劇場設立時に専務理事となり、16年から代表理事。

 2008年、仙台市地下鉄東西線の工事で伐採された青葉通のケヤキを市民に譲渡すると聞き、私たちの団体は、楽器を作り合奏団を結成してその音色を仙台中に響かせようと計画。「青葉の音色プロジェクト」と名付けて申請した。
 そしてできたのが「コカリナ」という木の楽器だ。元々はハンガリーの楽器だったのを、音楽家の黒坂黒太郎氏が紹介して日本中に広めた。私たちは「けやきコカリナ青葉の風」合奏団を結成し、月1回のレッスンを続けている。
 また、仙台のケヤキ並木の歴史を含め、けやきコカリナができるまでの紙芝居「けやきコカリナ物語」を作り、楽器の普及と体験レッスン、地域での出前コンサートなどを行っている。
 紙芝居を作ったことが縁で、市内で開かれる長町紙芝居フェスティバルのお誘いを受け、数年前から参加している。
 このフェスティバルは長町の商店街と地域の方々が、街づくりの一環で行っている。宮城県内各地の紙芝居団体が多数参加し、長町のあちこちで紙芝居が繰り広げられる。今年は9月7日で私たちは、みやぎ生協長町店での出演だった。
 午前10時半から午後1時まで、2団体が交互に紙芝居を披露した。午後になって、観客だった小学1年の子どもが「僕もやってみたい!」と言い出した。びっくりするお母さんと一緒に演じ終えた後は、会場から拍手大喝采!
 その後、また別の小学5年の子どもが「僕も!」。「えっ!やるの?」と、やはりびっくり顔のお父さんを紙芝居の引き手にさせ、演じ終えた。そしてまた大喝采! 観客は決して多くないが、子どもたちを見守る大人たちの温かさがその場を包んでいるように感じられ、ほっこりした。
 今回の経験はそれぞれの親子の胸に、地域の方々の優しさとともに思い出として残るだろう。
 何より、私にとっても、これまでで最も印象深いフェスティバルになった。そして改めて「子どもはかわいい! 大人は優しい!」を実感した。私たちもこのような温かい空間を、つくり出していけるよう努力していきたい。
(みやぎ県子ども・おやこ劇場代表理事)


2019年09月30日月曜日


先頭に戻る