<まちかどエッセー・斎藤尚美>羊毛フェルト作り

斎藤尚美[さいとう・なおみ]さん 1972年仙台市生まれ。東北生活文化大生活美術学科(絵画専攻)卒。市内3カ所で造形アトリエ「アートフィールドくうか」を運営するほか、絵画制作や羊毛フェルト作家として活動する。

 アトリエでは日々さまざまな素材を使って造形活動を楽しんでいます。その中でも冬の季節に特に子どもたちに人気なのが羊の原毛です。ふわふわ肌触りのいい羊毛はカラフルな色に染められており、目で見ていてもワクワクします。子どもたちは我慢できずに手を伸ばし、自分のほっぺに持っていってスリスリしたり、首にぐるぐると巻き付けたり、その触感を存分に楽しみます。
 羊の原毛の素晴らしさは混色ができ、素材自体が自在に変化するということです。そのままリース状のつるに巻き付け、巻き終わりをこすると適度に含む油分によって、ピタッとくっつきます。
 「ドライフェルト」と「水フェルト」という二つの技法によって、さまざまな形に成形することができます。子どものみならず、大人も夢中になる技法です。
 ドライフェルトは、通称フェルティングニードルといって先端にギザギザがある羊毛用の特殊なニードル針を使います。針でチクチクつつくことで繊維を絡めながら、小さな動物やブローチ、オーナメントなどの小物作りに適しています。
 水フェルトは、広げて重ねた羊毛にせっけん水を掛け、圧力をかけながらこすります。毛と毛のキューティクルが絡み合って縮んでいき、丈夫なフェルトシートができて、コースターや鍋敷きになります。
 大物のフェルトバッグ作りは、膨らませたゴム風船に原毛を縦・横・斜めに巻き、せっけん水を含ませながらこすります。こちらは、過去に肩の炎症を起こして、ドクターストップになったほどの力仕事です。
 間違ってウール100%のセーターを洗濯し縮めてしまったときの原理です。
 歴史をさかのぼると、古くは紀元前といわれています。ヨーロッパが発祥で、日本では奈良の正倉院に中国から贈られたというフェルト生地が現存しているそうです。また、モンゴルの移動式の家・ゲルの中でも保温にフェルトが使われています。
 触って癒やされる羊毛を針でチクチク、手でゴシゴシ。単純作業で無心になれるフェルトアートは、暖かい部屋にこもってするお勧めの冬の手仕事です。
(造形教室主宰)


2019年12月16日月曜日


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