<まちかどエッセー・長沼広>晩学の効用

長沼広[ながぬま・ひろし]さん 1952年山形市生まれ、東北大医学部卒業。東北大病院に勤務し、米国のロックフェラー大に2年間留学。帰国後、仙台市立病院に勤務し、定年退職。現在は仙台赤十字病院勤務。

 2015年7月に「ブラタモリ仙台編」が放送された。ブラタモリは好きなテレビ番組で、録画して見ている。仙台といえば「伊達政宗と青葉城」と思っていたら、四ツ谷用水をブラッとしていた。昔よく通っていた国道48号沿い、毎年お参りに行く大崎八幡宮、かつて住んでいた場所の近くに素晴らしい遺跡があるとは、びっくりであった。
 昨年私が所属する異業種会の例会で、仙台・水の文化史研究会会長の柴田尚さんに四ツ谷用水の解説をしていただいた。そして取水口から北六番丁まで、要所を案内していただいた。タモリさんが探索しなかった場所にも立ち寄った。車だと気付かない微妙な勾配や段差、ヘリ(地形の境目)を実感し、仙台の素晴らしい遺跡を堪能した。
 柴田さんの解説をちょっと拝借。1601(慶長6)年、伊達政宗は仙台城と城下町の建設に着手し、四ツ谷用水を開かせた。
 世界各地の古代都市でも、日本でも、飲料水確保のために水路が建設された。だが仙台の四ツ谷用水は、防火、かんがい、排水のために開かれた。河岸段丘という地形をうまく利用して、広瀬川上流から梅田川まで、仙台城下にくまなく用水路を巡らした。そして、本線は現在も工業用水として利用されている。
 全く見事な土木技術である。飲料水は、井戸水や湧水を使っていた。もともとあった地下水層に四ツ谷用水の一部が浸透し、地下水を豊かにし、より安定化していた。片平市民センターに四ツ谷用水の解説コーナーがある。ぜひ一度、散歩がてらに足を運ばれることをお勧めする。
 さて、正直なところ学生時代は社会科の授業は苦痛だった。ただ受験のために地理的特徴、年号、事件を暗記していた。定年後の現在、時間的な余裕ができて興味の幅が広がり、地理や歴史を知ることの面白さに気付かされた。
 仙台の地理や歴史を知ると、興味深い場所や出来事がたくさんあることに気が付く。興味を持つことが、新しい発見に続く。「あれ」と「これ」がつながる。知る楽しさ、面白さは万人に共通ですね。
(病理医)


2020年01月20日月曜日


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